メタバース記事 2024.07.16

Z世代から読み解くメタバース採用とは?メリットと実践例を解説

メタバース 採用 Z世代

近年、ビジネスシーンで急速に広がりを見せているメタバースが、採用活動にも新たな風を吹き込んでいます。従来のリモート就活では、TikTokやYouTubeなどの動画メディアが活用されてきましたが、ディスプレイ画面越しのコミュニケーションでは会社の雰囲気が十分に伝わりにくいという課題がありました。そんな中、仮想空間を利用した「メタバース採用」が注目を集めています。

本記事では、1990年代後半から2010年代前半に生まれたZ世代の採用において期待される「メタバース採用」について、候補者側と企業側のメリット、具体的な採用活動のタイプ、そして実際の活用事例を詳しく解説します。他社に先駆けて革新的な採用活動を展開したいとお考えの方や、メタバースを活用した採用に関心をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。

目次
  1. Z世代がもたらす新卒採用への影響
  2. メタバースを採用活動に使うことでのZ世代候補者に対してのメリット
  3. 企業が享受するメタバース採用のメリット
  4. 企業がメタバース採用を行う際のデメリット
  5. メタバースを活用した5つの採用活動
  6. メタバース採用の9事例
  7. まとめ

Z世代がもたらす新卒採用への影響

新卒採用の変化とZ世代の登場

新卒採用市場は近年、大きく変化しています。その中心には、Z世代の台頭があります。Z世代は、スマートフォンやインターネットが日常的に存在する環境で育ったデジタルネイティブです。この世代は、従来の紙ベースや対面中心の採用手法ではなく、デジタルでインタラクティブなアプローチを求める傾向があります。リアルな説明会や面接だけではなく、オンラインでの情報提供やエンゲージメントが重要視されています。彼らにとって、デジタル環境での即時性や双方向性が、企業選びの重要な要素となっています。

Z世代の価値観と働き方

Z世代は、自己表現や多様性を非常に重視します。彼らは社会的な意義や持続可能性を考慮した仕事を求める傾向が強く、ワークライフバランスも重視します。また、Z世代は、デジタルツールを使ったコラボレーションに慣れ親しんでいます。さらに、自己成長や学びの機会を求める姿勢が強く、キャリアパスの透明性を重視します。これにより、彼らは自分の成長が見える形でサポートされる企業を好む傾向があります。

Z世代へのアプローチ方法

Z世代に効果的にアプローチするためには、SNSやデジタルマーケティングの活用が不可欠です。特にビジュアルコンテンツやインタラクティブな体験を通じて情報を伝えることが効果的です。企業の文化や価値観を共感させるメッセージを発信することも重要です。Z世代は口コミやレビューを重視するため、従業員の声や実際の職場環境をリアルに伝えることが求められます。

例えば、メタバースを活用した会社説明会やオフィス見学は、企業の雰囲気をリアルに伝える有効な手段となります。また、インフルエンサーを活用したマーケティングや、リアルタイムでの質問応答セッションを設けることで、彼らとのエンゲージメントを深めることができます。

メタバースを採用活動に使うことでのZ世代候補者に対してのメリット

参加者の負担が軽減される

メタバースを利用することで、就活生は物理的な移動の必要がなくなり、時間や交通費の節約が可能になります。特に遠方からの参加者にとっては大きなメリットとなります。これにより、参加者の物理的・精神的な負担を軽減し、多くの人材にアプローチしやすくなります。

心理的ハードルの低下

アバターを通じてコミュニケーションを取ることで、対面やビデオ通話に比べて緊張感が和らぎます。これにより、就活生はリラックスして自己アピールができる環境が整います。アバターの使用は、外見に対するプレッシャーを軽減し、実力や人柄をより正確に伝えられる手段となります。

企業との認識齟齬やミスマッチの軽減

メタバース上で企業のオフィスや働く環境をリアルに再現することで、候補者は企業の雰囲気を具体的に感じ取ることができ、入社後のギャップを減らすことができます。これにより、入社後の早期離職率を低下させ、長期的な定着率向上が期待できます。

楽しみながら就活できる

インタラクティブで没入感のあるメタバース上の体験は、従来の就職活動とは異なり、楽しみながら進めることができます。これにより、就活のストレスが軽減されます。メタバースでの活動は、ゲーム感覚で進められるため、就活生のモチベーションを高める効果もあります。

企業が享受するメタバース採用のメリット

遠隔地の優秀な人材へのアプローチ

メタバースを活用することで、地理的な制約を超えて全国や海外から優秀な人材を採用することができます。これにより、地域格差をなくし、多様な人材を確保することが可能です。リモートワークの普及に伴い、場所にとらわれない採用戦略が重要となっています。

候補者には見せることのできなかった雰囲気を伝達できる

メタバースでは、3Dモデルを使って現実に似た世界を表現できます。この技術を活用することで、著作権や秘密保持の観点から見せることが難しかった仕事現場を、候補者に体験してもらうことが可能です。

これにより、従来は現場見学でしか伝えられなかった魅力を、オンライン上でも伝えることができるようになります。

候補者の本音を引き出しやすくなる

アバターを通じたコミュニケーションにより、候補者がリラックスしやすく、本音を引き出しやすい環境が整います。これにより、より深い相互理解が可能になります。アバターは、面接においての緊張感を緩和し、自然な会話を促進します。

不安の解消と企業理解の向上

メタバースでリアルな企業環境を再現することで、候補者の不安を解消し、企業の文化や価値観を具体的に伝えることができます。これにより、候補者は安心して応募できるようになります。企業側も候補者に対する理解を深めやすくなり、より適切な人材選定が可能です。

企業PRとブランディングの強化

先進的なメタバース採用は、企業のイメージアップやブランディングに寄与します。特に、ITに関心のある候補者からの注目を集めやすくなります。メタバースを活用することで、企業の先進性や柔軟な姿勢をアピールできます。

コスト削減

物理的な会場設営や運営にかかるコストを削減でき、効率的に採用イベントを実施することが可能です。また、オンラインでの開催により、参加者の交通費や宿泊費も削減できます。これにより、企業の採用活動全体の効率化とコストパフォーマンスの向上が図れます。

企業がメタバース採用を行う際のデメリット

導入の難しさ

メタバースの利用には新たなスキルや知識が必要であり、導入初期には企業側の適応が求められます。特に技術的な準備や学習コストが発生する可能性があります。導入に際しては、専門知識を持つスタッフや外部の支援が必要になることもあります。

構築にかかる時間と労力

メタバース環境の構築には時間と労力がかかるため、事前の計画と準備が重要です。特に初期段階では試行錯誤が必要となることがあります。長期的な視点での投資と、持続的な運用体制の構築が求められます。

メタバースを活用した5つの採用活動

メタバースは、次のような採用活動シーンで活用ができます。

メタバース会社説明会

仮想空間で会社説明会を開催し、就活生が自由に参加できる環境を提供します。リアルタイムでの質疑応答や、録画を通じた後日の確認も可能です。

メタバース合同説明会

複数企業が仮想空間にブースを設け、就活生と交流型の企業情報を提供する合同説明会です。偶発的な出会いや多様な企業情報の提供が可能です。各企業のブースを巡りながら、興味のある企業と直接コミュニケーションを取ることができます。

メタバース面接

アバターを通じて面接を行い、遠隔地の候補者とも手軽に面接が実施できます。候補者の移動負担を軽減し、リラックスした環境での面接が可能です。面接の様子は録画して後で見返すことができるため、評価の一貫性も保ちやすくなります。

メタバースオフィス見学

仮想空間でオフィスを再現し、就活生が企業の雰囲気を体感できるオフィス施策です。常設することで、就活生が自由なタイミングで見学できるようにすることも可能です。オフィスツアーでは、働く社員とのインタラクティブな交流も可能です。

メタバース内定者懇親会

内定者同士や企業の社員と仮想空間で交流する懇親会です。リラックスした環境でのコミュニケーションが可能です。ゲームやアクティビティを通じて、自然な形での交流が促進されます。

メタバース採用の9事例

では、実際に活用を行っている企業の事例を9つご紹介します。

  • 1. 兼松株式会社:新卒向けメタバースを活用したオフィス見学
  • 2. 中京テレビ:新卒向けメタバース会社説明会
  • 3. メタバース採用EXPO2024/2025:メタバース合同説明会
  • 4. METANAVI:メタバース就活イベント
  • 5. キャリアパーク就職エージェント:就職相談メタバース
  • 6. 株式会社ビヨンド:メタバース面接
  • 7. 株式会社Aww:採用選考面談
  • 8. 荏原製作所:メタバースインターンシップ
  • 9. 東京女子大学:VR面接練習

これらの事例を通じて、採用シーンにおけるメタバース活用の理解を深めていただければ幸いです。

1. 兼松株式会社:新卒向けメタバースを活用したオフィス見学

メタバース 兼松 採用

総合商社として幅広い事業を展開する兼松株式会社は、本社オフィスを東京都千代田区丸の内に移転後、その新しいオフィス環境をメタバース空間に再現し、採用活動に利用を開始しました。このデジタル化されたオフィス空間を通じて、新しい形の採用プロセスを展開しています。

メタバースを活用した採用活動の主な目的は、より多様な人材の獲得と、候補者との双方向コミュニケーションの活性化です。デジタル空間での体験を通じて、企業の魅力をより深く伝え、理解してもらうことを目指しています。また、デジタル技術の活用を通じた企業価値の向上と、DX推進の一環としても位置づけられています。

この取り組みは、兼松の将来的な成長基盤の強化と、新たなビジネス機会の創出に寄与することが期待されています。

2. 中京テレビ:新卒向けメタバース会社説明会

テレビ放送業界における先駆的な試みとして、中京テレビ放送は2022年にメタバースを利用して会社説明会を開催しました。このイベントは大きな注目を集め、定員200名に対して約2倍の応募があり、参加者は抽選によって選ばれました。

参加者からは、メタバースを介したアバターによるコミュニケーションがリアルな会場での質問よりも容易であったため、より深い理解を得ることができたとの声が多数寄せられました。加えて、ブース間の自由な移動が可能だったため、気になるブースに簡単に参加し、社員と直接会話することができたと評価されています。

一方で、人事担当者はメタバース内でのコミュニケーションが双方向であり、多様な部署が一堂に会して質疑応答を行える点に大きなメリットを感じられたそうです。

3. メタバース採用EXPO2024/2025:メタバース合同説明会

2023年1月27日・28日に、大手企業やスタートアップ、地方企業を含む全国から179社が出展したメタバース新卒採用EXPOが開催されました。このイベントでは、メタバース技術を活用し、スマホネイティブのZ世代の学生がゲームのように自身の分身となるアバターを通して自由に採用企業のブースを歩き回ることができました。出展企業の人事担当者と気軽にコミュニケーションを取れる形式が採用されました。

メタバースを利用した就活の主な目的は、地域格差をなくし、学生がより自由に企業研究を進めることです。学生は出展企業の担当者とコミュニケーションをとって企業研究を進めるほか、学生のみが入れる広場で就活仲間との交流を楽しむことができました。

メタバース就活は、就活における地域格差を解消することが期待されており、未来の就活の新しい形として注目を集めています。

4. METANAVI:メタバース就活イベント

メタバース関連のイベントをプロデュースする株式会社tenshabiは2022年4月29日に、メタバース関連企業やメタバース事業を立ち上げようとする企業と、メタバースでのキャリアに関心がある学生や社会人がメタバース空間で出会う就活イベント「METANAVI」を開催しました。このイベントはソーシャルVRサービス「VRChat」上で開催されましたが、YouTube配信やZoom接続も行われ、VRデバイスや高性能なPCを持っていなくても気軽に参加できるようになっていました。

メタバース空間での就活イベントは、参加者が楽しみながら就職活動を行える新しい形として注目されており、メタバース技術を活用することで、より多くの人々が参加できる機会を提供しています。

5. キャリアパーク就職エージェント:就職相談メタバース

就職活動支援サービスを提供するポート株式会社が運営する「キャリアパーク就職エージェント」は、「就活メタバース」という就職相談メタバースプラットフォームを提供しています。オンライン面談とは異なり、まるで対面で会話をしているようなリアルな仮想空間を構築し、就活のプロであるキャリアコンサルタントが就職活動の悩みをヒアリングし、就活生の希望に沿ったキャリアプランの提案や人材紹介サービスを提供します。

この「就活メタバース」は、次世代の就職活動のスタンダードとして、メタバース上での就職活動をいち早く体験できるサービスです。現在、このサービスは2024年卒業予定の学生に対してのみ提供されています。

メタバース技術を活用することで、就活生がリアルな対面のような環境でキャリア相談を受けられ、希望に沿ったキャリアプランの提案を受けることができます。これにより、学生がより効果的に就職活動を進めることが期待されています。

6. 株式会社ビヨンド:メタバース面接

ITソリューションを提供する株式会社ビヨンドは、2024年度新卒の採用面接をメタバース上で実施しました。近年では求職者の多様性を尊重するため、プライバシーに関わる質問を避け、学歴や性別などのフィルターをかけずに選考を行うことが重要視されています。

メタバース面接では、面接官と就活生がともにVRヘッドセットを着用し、オンライン上に再現された3D空間のオフィスで面接を行いました。名前、年齢、学歴、性別を不問とし、就活生の内面やエンジニアへの素養を重視した採用を目的としています。

ビヨンド社はメタバースを用いた選考により、IT業界に対する関心度やエンジニアへの志望度が高い学生と出会えることを期待しているとのことです。

7. 株式会社Aww:採用選考面談

バーチャルヒューマンのプロデュースを行う株式会社Awwは、2022年にメタバース空間「Decentraland」で世界初となる採用選考面談を実施しました。このメタバース面接では、採用候補者を「Decentraland」の面接実施区画に案内し、採用担当者と候補者がそれぞれアバターを作成して登場し、一般的な面接よりもカジュアルなコミュニケーションを実現しました。

Aww社は、カルチャーをアップデートし、まだ誰もやっていない分野に対してスピード感を持って挑戦することを大切にしています。採用においても、最新の技術やサービスを用いることで、お互いのミスマッチを無くすことを目的にメタバース面談を実施しました。

8. 荏原製作所:メタバースインターンシップ

ポンプメーカーの荏原製作所は、2024新卒向けインターンシップをメタバース空間(アクアリウムとオフィスルーム)で実施しました。選考に通過した約50名の学生全員がアバターとなり、メタバース内でディスカッションとプレゼンテーションを伴うグループワークが行われました。当日はメタバースという初めての環境での実施にも関わらず、非常に活発なディスカッションが行われ、メタバースという環境が新しい働き方の手段としてのポテンシャルを十分に持つことが示されました。

参加した学生からは、「オンラインミーティングの環境とは異なり、アバターを使用することで参加者同士の距離感が近く、緊張せずにワクワクしながら参加できた」「アバターを使用することで可視的な違いによる先入観が無いため、スムーズに会話ができ意見を言いやすい環境だった」といった感想が寄せられました。荏原製作所は、今後もメタバースを活用し、さまざまなスキルや経験を持った社員が繋がることで、イノベーションの加速を目指す方針です。

9. 東京女子大学:VR面接練習

最後に採用活動におけるメタバース活用で、一風変わった事例をご紹介します。

幅広い教養教育を提供する東京女子大学のキャリア・センターは、2019年5月から日本で初めて就職活動支援にVRを活用した採用面接体験動画を導入しました。この取り組みにより、学生は面接担当者との対話に対する不安や、選考の各段階の雰囲気の違いをリアルに体験でき、実際の面接の場に立った際の緊張感や苦手意識をなくす効果が期待されています。

このVR体験動画では、学生は一次、二次および最終面接を想定した動画を各自の活動に合わせていつでも視聴することができます。また、応答内容のブラッシュアップや話し方の工夫など、面接のスキルアップを目指す場合に何度でも反復練習が可能です。面接本番前にもう一度確認しておきたい場合にも活用できます。コンテンツを追加することで変化するトレンドに柔軟に対応でき、より実践的かつ効果的な支援が提供されます。

まとめ

メタバースを活用した採用活動は、Z世代の特性に応じた革新的な手法として注目されています。遠方の人材へのアプローチや心理的ハードルの低下、企業と候補者のミスマッチ軽減など、多くのメリットがあります。しかし、導入には技術的な準備や学習が必要であり、初期段階では試行錯誤が求められるかもしれません。

今後、技術の進化に伴い、メタバースを活用した採用手法はさらに多様化し、効果的な手段として確立されていくことが期待されます。企業はこの機会を捉え、メタバースを取り入れた新しい採用手法に挑戦することで、次世代の優秀な人材を確保する一助とすることができるかと思います。

更新日:2024年7月16日

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