Facebookが2021年末に社名をMetaに変更したことで、メタバースは世界中で大きな注目を集めました。
しかし、20年前に登場したメタバースサービス「セカンドライフ」が一時的に流行った後、その活気を失ってしまったという悲しい実例もあります。これにより、今回の流行においても「メタバースはもはや過去のものなのではないのか」と疑問を持つ声も出ています。
この記事では、メタバースがなぜ既に”過去のもの”と見なされがちなのか、そしてその普及と発展に影響を与える要因について、説明します。
本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。
- メタバースがオワコンといわれている理由を知りたい
- メタバースが本当にオワコンなのか知りたい
- メタバースの今後の展望について知りたい
本記事を読めば、今後のメタバースの展望について、歴史を振り返りながら効率良くキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。
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そもそもメタバースとは?
メタバースとは「コミュニケーションができる仮想の空間」のことです。
「メタバースはゲーム」や「メタバースを体験するにはVRゴーグルが必要」と思われている方も多いでしょう。
しかし、メタバースにはゲーム機能がないといけなかったり、VRゴーグルが必要だったりというような決まりはありません。
メタバースでの重要なポイントは、人々が仮想空間上で、音声でのコミュニケーションをはじめとした様々な活動を行うことができる点です。
実際にゲーム機能がないメタバースである「VRchat」は国内にとどまらず、海外からの人気も高く、ユーザー同士での交流が盛んに行われています。また、metatell(メタテル)含め大半のメタバースサービスがVRゴーグルなしで利用できます。
メタバースについて詳細に知りたい方は「メタバースとは?できることやメリットデメリット、始め方を詳しく解説」をご覧ください。
メタバースがオワコンとされる4つの理由
国内外で盛り上がりを見せている、メタバースですが、一部では「オワコン」と言われる様になりました。
この章では、メタバースが直面する主な課題を4つ掘り下げ、なぜ一部で「オワコン」と見なされるのかを解説します。
セカンドライフが失敗したから
一つ目の理由は、2003年にリリースされた「セカンドライフ」の失敗にあります。「セカンドライフ」はその新奇性から、2008年のピーク時には会員数が1500万人、デイリーアクティブユーザーが100万人に達するほど社会現象となる盛り上がりを示しました。
しかし、その後ユーザー数は大幅に減少し、急激に勢いを失いました。
このような背景から、「世界初のメタバース空間」とされるセカンドライフの失敗を例に挙げ、現在のメタバースブームもやがては沈静化するのではないかと考える意見が存在します。
通信速度の制限などの技術的問題
2つ目の理由は、通信速度の制限など技術的な問題です。メタバースは三次元の仮想空間であり、多くのユーザーが同時にアクセスするためには、迅速かつ大容量の通信が求められます。ユーザーがこの空間内でスムーズに活動するためには、高速な通信インフラが不可欠です。
ハードウェアの制限とデバイスコスト
3つ目の理由は、メタバースをオワコンと見なす意見の中には、メタバース内でのシームレスな体験を支える通信技術が未発達であることと同じく、高速通信を支持する高性能デバイスを持つユーザーがまだ少ないことが挙げられます。
例えば、高性能デバイスで有名なVRゴーグルである、Apple Vision Proは、没入感の高さや美麗なグラフィックで大きな注目を集めていますが、価格が約50万円であり、一般層に普及する上で大きな障壁障害となっているといわれています。
プライバシーとセキュリティの懸念
4つ目の理由は、プライバシーとセキュリティの懸念です。
メタバースにおけるプライバシーとセキュリティの懸念は、主に、ユーザーの詳細なデータ収集、アイデンティティ管理の複雑さ、サードパーティのリスク、およびインタラクションの安全性に関連しています。
これらの問題は、メタバースプラットフォーマーの提供する詳細なユーザー情報の収集と保存、不正アクセスのリスク、効果的なモデレーションの欠如、そしてサードパーティ製コンテンツのセキュリティ基準の不確実性から生まれる懸念事項です。
さらに、現在の法規制が新しいデジタル空間の課題に追いついていないことも、大きな課題として挙げられます。
メタバースがオワコンではない7つの理由
しかし、近年、メタバースは著しい注目を集めており、多くの企業がこの分野に参入しています。この動向は、過去のセカンドライフとは異なり、メタバースが持続的な成長の潜在力を有していることを示しています。
メタバースが「オワコン」でないとされる理由は以下の7点に集約されます。
- AppleやMetaなどのビッグテック企業による本格的な参入と巨額の投資
- 関連技術の顕著な進化
- デバイス価格の低下
- リモートコミュニケーションの広がり
- 若者を中心としたユーザーの拡大
- 仮想世界への認識と期待の変化
- メタバース市場に対しての持続的な投資
1. AppleやMetaなどのビッグテック企業による本格的な参入と巨額の投資
1つ目の理由は、AppleやMetaなどのビッグテック企業による本格的な参入と巨額の投資です。
メタバース市場では、AppleやMetaなどのビッグテック企業が市場に本格的に参入し、莫大な投資を行っています。たとえば、MetaはFacebookから社名を変更し、メタバースへ年間約1兆円を投じると発表しました。
また、Appleは2023年にゴーグル型のXRヘッドセット「Apple Vision Pro」を発表するなど、メタバースデバイス開発に注力しています。
これらの動向は、スマホから次のデバイスを生み出そうとしているものであり、メタバースをベースとしたコミュニケーションが当たり前になる世界を生み出そうとビッグテックが動いていることを示しています。
2. 関連技術の顕著な進化
2つ目の理由は、関連技術の顕著な進化です。近年、メタバース関連技術は飛躍的に進歩しています。通信技術やコンピュータの処理能力が向上し、メタバースデバイスも登場しました。これにより、ユーザーは以前よりもずっと滑らかで没入感のある体験をメタバース内で享受できるようになりました。
この技術進歩により、メタバース空間での体験が大幅に向上し、より広範な普及が期待されています。
3.デバイスの価格低下
3つ目の理由は、デバイスの価格低下です。メタバース体験を最大限楽しむ為には、VRゴーグルは必要不可欠と言えます。2023年には、Appleが「Apple Vision Pro」を発表しましたが、価格は日本円で約51万円と高額になっています。
当然、新技術も搭載されておりスペックも最新のものとなるので高価格なのは、理解できますが、一般普及にはまだまだ適正価格ではないかと思います。
ただ、5年前に販売されているVRゴーグル、meta の meta quest の価格は、現在 7万4800円(128GB)と比較的購入しやすい価格となっているので、価格低下も普及率に伴う時間の問題だと思います。
4. リモートコミュニケーションの広がり
4つ目の理由は、リモートコミュニケーションの広がりです。2020年からコロナウイルスの流行によりリモートコミュニケーションが普及しました。これにより、仕事だけでなくプライベートのコミュニケーションもデジタル化が進み、多くの人がオンラインでのやり取りに慣れ親しむようになりました。
この変化は、メタバースが日常生活においてより一層重要な役割を果たす可能性を高めています。
5. 若者を中心としたユーザーベースの拡大
5つ目の理由は、若者を中心としたユーザーベースの拡大です。メタバースへの参加ユーザーは増え続けていますが、特に若年層のユーザーが急増しています。
メタバースはオンラインゲームのプラットフォームとして特に人気があり、例えばFortniteは約5億人、Robloxは約2億人のユーザーがいます。
セカンドライフのユーザーが1500万人であったことを考えると全く違う普及段階になっていることが明らかです。
このユーザー数の増加は、メタバースの市場拡大に直接的な影響を与えています。
6. 仮想世界への認識と期待の変化
6つ目の理由は、仮想世界への認識と期待の変化です。メタバースの登場により、人々の仮想世界に対する認識が変わりました。コロナ禍での自宅待機が長期化する中、多くの人がFortniteやRobloxなどの仮想世界を楽しみ、オンラインでのイベント参加や遠隔地の人との交流が増えました。
これにより、かつての偏見が払拭され、仮想世界が日常生活の一部として受け入れられるようになっています。
7. メタバース市場に対しての持続的な投資
7つ目の理由は、メタバース市場に対しての持続的な投資です。今後、将来的にはメタバース市場の成長が見込まれています。世界的には2020年の市場規模が約68兆円で、2024年には約111兆円に達すると予想されています。
日本国内では、矢野経済研究所の報告によると、2022年度の国内メタバース市場規模は1,377億円で、前年度比173.6%の成長を記録しました。
この急速な拡大は、試験的な事業参入や新技術への高い注目によるものです。市場は2023年度にさらに成長し、2,851億円に達すると予測されており、2026年には約1兆円に成長する見込みです。
年間平均成長率(CAGR)は70.77%で、これは一般的な成長産業の10〜20%や、スマホ普及時の50%を大きく上回る数値です。2027年には2兆円を超える見込みとなります。
これらの理由から、メタバースは今後も重要な成長分野であり続けると期待されています。
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メタバースの今後の普及・発展のシナリオ
メタバースは、次の3つのステップで普及すると考えられます。
- 黎明期(黎明期・ピーク期)
- 普及期(幻滅期・啓発期)
- 定着期(生産性の安定期)
ガートナーの日本版パイプ・サイクルによると、2022年版で「過度な期待」のピーク期にあったメタバースやWeb3、NFTは、2023年版(下記)では幻滅期に入っている。
① 黎明期(〜2025年): 一般ユーザーへのメタバースの認知拡大
黎明期(現在〜2025年)では、技術進化と社会的ニーズの高まりから、多くの一般ユーザーがメタバースに興味を持ち始め、企業の市場参入が進みます。
この期間は、技術の発展によるVRデバイスの低価格化やコロナによるリモートコミュニケーション需要の高まりが特徴です。
② 普及期(2025年〜2030年): メタバースの日常への浸透
普及期(2025年〜2030年)には、技術のさらなる進化とサービスの充実により、メタバースが広く生活に普及します。
VR/ARデバイスは小型化し、長時間の使用が可能になり、日常生活の多様な活動がメタバース上で行われるようになります。
③ 定着期(2030年以降): メタバースの完全な統合
定着期(2030年以降)では、技術が成熟し、メタバースへのアクセス障壁が低下します。
メタバースはスマホのように日常の多くの領域で使用されるプラットフォームになり、教育研修から製造業の運営まで、広範囲にわたる企業活動に統合されます。
メタバースの普及・発展を左右する7つのカギ
メタバースの普及と発展に不可欠な7つの要素を、技術、社会、経済、政治の4つの観点から詳細に分析し、7つのカギをまとめました。これらの要素がメタバースの将来的な拡大にどう影響するかを解説します。
技術的観点からの要素
技術的な観点では、下記の2つのカギが考えられます。
① VR/ARデバイスの性能とユーザーエクスペリエンスの向上
現在、VR/ARデバイスは次第に小型化・軽量化が進んでおり、これが持続することがメタバースの普及には必須です。これらのデバイスが日常生活で容易に使えるレベルになれば、リアルとバーチャルの境界が曖昧になります。
② ハードウェア・ソフトウェアの標準化
メタバースのデバイスやサービスの規格が統一されれば、ユーザーは異なるプラットフォーム間でスムーズに活動でき、デジタルアセットの互換性も保証されます。
社会的観点からの要素
社会的な観点では、下記の3つのカギが考えられます。
③ 広く受け入れられるヒットコンテンツの登場
メタバースが日常的に利用されるためには、ゲームだけでなく、他のエンターテインメントやコミュニケーション、仕事など幅広い用途でのヒットコンテンツが必要です。
④ アバターを通じたコミュニケーションの普及
ユーザーがアバターを通じて自然なコミュニケーションを行えるようになることで、メタバースでの交流が促進されます。
⑤ メタバース関連人材の育成
メタバースエコシステムを支えるクリエイターやエンジニアなどの専門技術者を育成することが、市場の拡大と持続的な成長につながります。
経済的観点からの要素
経済的な観点からは、下記の2つのカギが考えられます。
⑥ 企業のマネタイズ
現在、Meta社をはじめとするグローバルテック企業から国内の主要産業リーダーに至るまで、多くの企業がメタバースのビジネス活用とその潜在的な収益機会を探求するため積極的に投資を行っています。これには、新しいビジネスモデルの創出、作業効率の向上、各種シミュレーションの実施などが含まれます。
しかし、メタバースはまだ技術的に黎明期にあり、多くの企業が大規模な収益を上げる段階には至っていません。企業が持続可能なビジネスモデルやエコシステムを構築し、それが成功を収めるたびに、メタバースへの投資は加速し、市場の拡大と発展に寄与しています。この進展が将来的にはメタバースの商業的潜在力を解き放つ鍵となるでしょう。
政治的観点からの要素
⑦ メタバース・NFTに関する法整備
メタバースおよびNFTの法的枠組みを整備することで、ユーザーと事業者の安心感を高め、市場の健全な発展を促進します。
これらの要素が適切に管理され発展していくことが、メタバース市場の健全な成長と広範な普及を確実なものにします。
メタバースの普及が生み出す6つの新たなビジネスモデル
メタバースの広がりが生み出すビジネスモデルは多岐にわたります。主に以下の6つが挙げられます。
- ①デジタルサービス/コンテンツ課金
- ②プラットフォーム手数料
- ③広告枠販売
- ④インフラ/ツール提供
- ⑤マーケティング・セールスの活用
- ⑥業務効率化の実現
① デジタルサービス/コンテンツ課金
ユーザーがメタバース上で消費するゲームやデジタルアセットに対する課金が、企業収益の重要な源泉となります。代表例としては、フォートナイトやClusterがあります。
② プラットフォーム手数料
メタバースのプラットフォーム運営者が、ユーザー間取引やデジタルコンテンツ販売から手数料を得るモデルです。Robloxのように、ユーザー生成コンテンツが主体のプラットフォームがこれに該当します。
③ 広告枠販売
メタバース内での広告スペースを販売し、新たな広告市場を創出します。ユーザーの滞在時間が増えれば増えるほど、このモデルの価値は高まります。
④ インフラ/ツール提供
メタバースの構築や運用に必要な技術やツールを提供することで収益を上げるモデルです。UnityやVketCloudがこの例にあたります。
⑤ マーケティング・セールスの活用
メタバースをマーケティングや直接販売のプラットフォームとして活用し、ブランドの認知度向上や売上増加を図ります。
⑥ 業務効率化の実現
メタバースを活用して業務プロセスをシミュレートしたり、リモートでの作業効率を向上させるなど、業務の質を高める使用例があります。
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自治体・企業がメタバースを活用する4つの目的と目的別の活用事例8選
企業がメタバースを活用する目的と目的別の注目を集める活用事例は以下の通りです。
<①プロモーションでの活用>
- 埼玉県:埼玉県がバーチャル空間上で埼玉の魅力を体感することができる「バーチャル埼玉」をオープン
- 大阪府/大阪市:大阪府/大阪市がメタバース「バーチャル大阪」で大阪の魅力を発信
<②採用活動での活用>
- 兼松株式会社:本社をメタバース空間に再現、採用活動での活用へ
- 中京テレビ放送:メタバース会社説明会を実施
<③ファンコミュニティ醸成での活用>
- 富士フイルム:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
- バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築
<④社内業務効率化での活用>
- ウォルマート:メタバース上で繁忙時を想定した研修
- DHL:AR活用によるピッキング作業の最適化
それぞれの事例を分かりやすく紹介していきます。
① プロモーションでの活用
メタバースならではの体験を提供し、体験した人にSNS上でシェアしてもらうことで、より多くの人にしってもらうための施策としての活用方法になります。
自治体が移住を促すために活用することが増えています。
埼玉県:埼玉県がバーチャル空間上で埼玉の魅力を体感することができる「バーチャル埼玉」をオープン
「バーチャル埼玉」は、2023年11月14日にオープンしたデジタルプラットフォームで、埼玉県の魅力をバーチャル空間で体験できます。このプロジェクトは、県内外に対して埼玉県の魅力を新しい形で発信することを目的としています。
バーチャル埼玉は無料でアクセス可能で、利用者は公式WEBサイトから直接アクセスでき、パソコンやスマートフォンなど多様なデバイスに対応しています。アプリのダウンロードや会員登録は不要で、すぐに体験を始めることができます。
このプラットフォームは、埼玉県の魅力を再発見し、県のイメージアップと政策の認知度向上を図ることを目指しています。特に、さいたまスーパーアリーナや川越の蔵造りの町並みなど、埼玉の象徴的なスポットをバーチャルで再現し、これらの場所でイベントを開催する予定です。
サイトでは、バーチャル埼玉の入場方法、空間内の案内、イベント情報などを提供しています。バーチャル空間では、リアルとは異なる体験が可能で、県庁の各課が設置するPRブースで、埼玉の多様な魅力を楽しむことができます。
バーチャル埼玉は、V-airが利用されています。(2024年現在)
大阪府/大阪市:大阪府/大阪市がメタバース「バーチャル大阪」で大阪の魅力を発信
バーチャル大阪は、大阪府、大阪市、そしてKDDIが協力して展開する都市連動型メタバースプロジェクトです。2025年の大阪・関西万博に向けて、大阪市の象徴的な地区をモデルにした「新市街」エリアが設けられ、大阪の魅力を国内外に向けて紹介しています。参加には公式サイトからVRプラットフォーム「Cluster」をダウンロードし、無料アカウントを作成することでアクセスが可能です。
このバーチャル空間では、自宅や外出先から様々なデバイスを使用してアクセスすることができ、世界中の人々とリアルタイムで交流しながら、バーチャル音楽ライブやアバターを通じた創作活動など多彩な体験が楽しめます。将来的には、バーチャル商店街でのショッピングが現実の商品配送に連動するなど、さらなる進化が期待されています。
また、道頓堀や大阪城などの大阪市内の有名なランドマークを背景にしたり、太陽の塔をモチーフにしたアバター衣装を着用することができるため、デジタルながらも大阪の文化や魅力を存分に感じることができる仕組みとなっています。
② 採用活動での活用
採用面では、オフィス見学など、距離が原因で伝えられない魅力を伝える手段としてメタバースが利用されています。
兼松株式会社:本社をメタバース空間に再現、採用活動での活用へ
兼松株式会社は、本社オフィスを東京都千代田区丸の内に移転後、その新しいオフィス環境をメタバース空間に再現し、採用活動に利用を開始しました。このデジタル化されたオフィス空間を通じて、新しい形の採用プロセスを展開しています。
この仮想空間は、ブラウザだけでアクセス可能であり、新商品の展示会やグループ会社との交流、従業員同士のコミュニケーション強化など、さまざまな用途に活用が進められています。
メタバースを活用した採用活動の主な目的は、より多様な人材の獲得と、候補者との双方向コミュニケーションの活性化です。デジタル空間での体験を通じて、企業の魅力をより深く伝え、理解してもらうことを目指しています。また、デジタル技術の活用を通じた企業価値の向上と、DX推進の一環としても位置づけられています。
この取り組みは、兼松の将来的な成長基盤の強化と、新たなビジネス機会の創出に寄与することが期待されています。
兼松株式会社のメタバースには、V-airが活用されています。
中京テレビ放送:メタバース会社説明会を実施
中京テレビ放送は2022年にメタバースを利用して会社説明会を開催しました。このイベントは大きな注目を集め、定員200名に対して約2倍の応募があり、参加者は抽選によって選ばれました。
参加者からは、メタバースを介したアバターによるコミュニケーションがリアルな会場での質問よりも容易であったため、より深い理解を得ることができたとの声が多数寄せられました。加えて、ブース間の自由な移動が可能だったため、気になるブースに簡単に参加し、社員と直接会話することができたと評価されています。
一方で、人事担当者はメタバース内でのコミュニケーションが双方向であり、多様な部署が一堂に会して質疑応答を行える点に大きなメリットを感じられたそうです。
③ ファンコミュニティ醸成での活用
オムニチャネルを作るなど、既存のお客さんに何度も買ってもらえることを目指している企業は多いのではないでしょうか。その際に重要になるのが、顧客のロイヤリティ向上であり、ファンを生み出し、ファンをマネジメントすることです。
そこで、メタバースがファンのロイヤリティ向上に活用されています。
富士フイルム:写真愛好家向けメタバース 「House of Photography in Metaverse」オープン
富士フィルムは2024年2月に写真愛好家向けメタバース 「House of Photography in Metaverse」をオープンしました。「HoP in Metaverse」は、デジタルカメラのショールーム、ギャラリー、およびユーザー交流スペースを含むバーチャル空間を提供し、写真愛好家たちとより直接的に結びつくコミュニケーション空間を実現しています。
空間は、エントランスホール、ショールーム、ギャラリー、コミュニティエリア、アリーナの5つの主要エリアで構成されています。これらのスペースは、ユーザーがアバターとして活動し、製品情報の収集、フォトセミナーへの参加、オンライン写真展覧、商品購入などが行えます。また、ユーザーは製品に関するアドバイスを提供するアバターコンシェルジュと直接相談も可能です。
このプラットフォームの目的は、時間や場所の制約なくユーザーに対して直営写真店と同等のサービスを提供し、写真愛好家たちが自由に交流し、共有する場を提供することです。また、フォトコミュニティの育成を通じて、写真愛好家たちが当社製品とサービスに深く関わることを促進することです
プラットフォームはPCやスマートフォンからアクセス可能で、VRゴーグルなどの特殊な機器は不要です。ユーザーは無料会員サービスに登録することで、全エリアのサービスを利用でき、各種イベントや直接的なコミュニケーションが享受できます。このメタバースでは、写真愛好家が自身の作品を展示したり、他の愛好家や専門家と直接交流することが可能です。
HoP in Metaverseは、V-airをベースに構築されています。
バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築
バンダイナムコグループは、2022年4月に発表された中期ビジョン「Connect with Fans」の下、ファンと繋がる新戦略「IPメタバース」を導入しました。
この戦略の一環として、「ガンダムメタバース」が展開され、これにより世界中のガンダムファンがメタバース空間で交流し、イベントに参加することが可能になります。イメージ映像では、ファンがメタバース内で語り合う様子やライブイベントへの参加が描かれています。
バンダイナムコは、他の企業もガンダムビジネスに参入しやすくするため、またファン自身がガンダムを活用したビジネスを展開できるプラットフォームを提供することを目指して、今後さらなる事業展開を進める予定です。
④社内業務効率化への活用での活用
メタバース・デジタルツインの技術を使って、店舗・物流企業はバリューチェーンやプロセス全体を最適化し、従業員の作業をサポートし、研修の効果を高めることが可能です。
メタバースを利用して、実際には存在しない施設や設備を設計・シミュレーションし、最良の製造ラインや運用手法を見極めます。
また、3D情報表示を活用して、AR/MRグラスを通じて現場作業員を支援することや、VRゴーグルを用いて様々なトレーニングシナリオを実施するなど、メタバースの多様な活用例を展開しています。
こうしたメタバースを用いた業務効率化を推進する企業の事例を紹介します。
ウォルマート:メタバース上で繁忙時を想定した研修
アメリカ合衆国に本社を置く世界最大の小売企業であるウォルマートは、社内業務の効率化を目的として、VR(バーチャルリアリティ)技術を接客トレーニングに導入しました。従業員が実際に体験することで、従来の研修方法とは一線を画すリアルな環境を提供しています。
ウォルマートは、1万7000台のOculus Questを約4700店舗に配備し、従業員にVRヘッドセットを装着させて研修を行っています。特に、ブラックフライデーなどの販売イベント時に大勢の顧客に対応するためのトレーニングを実施し、現実には再現が困難な状況を仮想空間でシミュレーションしています。
このVRトレーニングの目的は、従業員がリアルな販売イベントの状況に即座に対応できるようにすることです。VR技術を活用することで、従業員は現実に近い環境でトレーニングを受けることができ、対応力とスキルを向上させることができます。また、大規模な投資によって、多くの従業員が同時に研修を受けることが可能となり、全体の業務効率化とサービス品質の向上を図っています。
DHL:AR活用によるピッキング作業の最適化
ドイツの大手物流企業DHL社は、倉庫での配送業務の効率化を目指し、グーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を導入しました。AR技術を活用し、従業員が作業中に必要な情報を即座に確認できるようにしています。
DHL社の従業員は、ピッキング作業の際にスマートグラスを着用します。これにより、製品・商品の保管場所やカート配置場所といった情報をハンズフリーで確認できます。スマートグラスのAR技術を利用して、作業の精度と効率を向上させています。さらに、多くのスマートグラスにはマイク機能が搭載されており、遠隔地との会話による連携もハンズフリーで行えるようになっています。
スマートグラスを導入することで、従業員は手を使わずに必要な情報にアクセスでき、ミスを減らし、作業時間を短縮できます。また、遠隔地とのコミュニケーションが容易になり、チーム全体の連携が強化されます。結果として、DHL社の業務全体の効率化とサービス品質の向上を図ることができます。
Urthのmetatell(メタテル)では実際に企業で活用できるメタバース空間をご提供しております。今回ご紹介した8つの事例のように、メタバースの取り組みを検討されている企業担当の方はお気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら
まとめ
メタバースは一部でオワコンと見なされがちですが、実際には多くの潜在的な応用が存在し、今後も進化し続ける技術です。現在の課題を乗り越え、より実用的でアクセスしやすいプラットフォームが登場すれば、その普及は加速するでしょう。
更新日:2024年10月10日
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