メタバース記事

メタバース会議とは?向く会議と主要ツール、進め方を解説

メタバース会議とは?向く会議と主要ツール、進め方を解説

メタバース会議とは、3D の仮想空間にアバターの姿で集まり、音声や資料共有を使って行う会議スタイルです。結論から言うと、雑談や非言語コミュニケーションを取り戻したい「ブレスト」「懇親会」「合宿型ワークショップ」のような会議には向いていますが、資料説明が中心の定例報告や1on1は、使い慣れたZoomやTeamsで十分なケースが大半です。本記事では、Web会議との違い、向く会議・向かない会議の見極め方、主要ツールの料金比較、導入の進め方、導入前に知っておきたい注意点までを実務目線でまとめました。

メタバース会議とは?Web会議・ビデオ会議との違い

メタバース会議は、3D空間にアバターとして入室し、近づいた相手とだけ会話できる「距離」の概念を持つ会議形式です。ZoomやTeamsのような画面分割型のビデオ会議とは異なり、空間内を自由に移動しながら複数の会話グループに出入りできる点が最大の特徴です。まずは両者の違いを整理します。

結局どう違うのかを一言でいうと、Web会議は「決まった議題を話すための会議室」、メタバース会議は「雑談も会議もできる仮想オフィス」です。以下の表に主な違いをまとめました。

観点Web会議(Zoom・Teamsなど)メタバース会議
空間の概念なし(全員が同じ四角い画面に並ぶ)あり(アバターが空間内を自由に移動する)
会話の輪基本的に参加者全員が同じ会話に参加する距離に応じて会話グループが自然に分かれる
雑談のしやすさ入室=発言待機になりやすい近づくだけで気軽に話しかけられる
非言語情報表情・身振りが中心アバターの向き・距離・ジェスチャーも使える
開催までの準備URLを発行するだけですぐ開催できる空間設計やアバター設定が必要な場合がある
向いている場面定例報告、1on1、社外商談など記録性重視の会議ブレスト、懇親会、合宿型ワークショップなど雑談性重視の会議

表のとおり、メタバース会議がすべてのWeb会議を置き換えるものではなく、「空間」と「距離」という特性を活かせる場面でこそ価値を発揮する会議形式だと言えます。

メタバース会議で得られる5つのメリット

ここでは5つのメリットを、実例を交えて整理します。いずれも「空間」と「アバター」という特徴から生まれるものです。

1. 空間を用途に合わせてカスタマイズできる

会議室型、オープンオフィス型、イベント会場型など、目的に応じて空間のレイアウトを変更できます。たとえばブレストなら円卓を囲むレイアウト、全社総会なら講堂のようなレイアウトにするなど、議題の性質に合わせた空間づくりが可能です。

2. アバターで発言のハードルが下がる

カメラをオンにしなくても、アバターの動きで「参加している感」を保てます。一般社団法人オンラインコミュニケーション協会が2021年9月に実施した調査(週5回以上社内Web会議を行うビジネスパーソン103名対象)では、対面に比べてメンタル疲労を感じると回答した人が53.4%、カメラオフで相手の感情が分からず神経を使うと回答した人が56.4%にのぼりました。アバターであれば素顔を映さずに参加できるため、カメラオンへの抵抗感を理由に発言を控えていた参加者でも発言しやすくなる場合があります。

3. 距離に応じて会話グループが自然に分かれる

大人数の会議でも、近くにいる人同士で自然にサブグループの議論が生まれ、必要なタイミングで中央に集まって全体共有する、という往復がしやすくなります。グループワークとその後の全体発表を1つの空間で完結できる点はメタバース会議ならではです。

4. 近づくだけで複数人と同時に話せる

会議の合間に近くにいる人へふらっと話しかけたり、雑談ついでに相談を持ちかけたりできます。Web会議のように「発言のためにミュートを解除する」操作が不要なため、ワイガヤ的なブレストとの相性が良い機能です。

5. URL一つでブラウザから参加できる

VRゴーグルを使わず、PCやスマートフォンのブラウザからアバターで参加できるサービスが増えています。メタテルもブラウザ完結型で、会員登録やアプリのインストールなしに参加できるため、社外のゲストを招く会議でも参加のハードルを抑えられます。

メタバース会議が向く会議・向かない会議

メリットがあるからといって、すべての会議をメタバース化する必要はありません。会議の目的によっては、Web会議の方が準備の手間もなく速いケースが多くあります。ここでは向き・不向きを具体的に切り分けます。

メタバース会議が向いている会議

  • ブレインストーミング・アイデア出し(サブグループでの議論と全体共有を行き来したい)
  • 新人歓迎会・懇親会・社内イベント(雑談や非言語コミュニケーションを重視したい)
  • 合宿型のワークショップ・研修(1日を通じて同じ空間に居続けたい)
  • 展示会・説明会(参加者が自由に回遊してブースを見て回りたい)
  • 海外拠点とのカジュアルな交流(会議の前後に雑談の余地を作りたい)

Web会議で十分な会議

  • 定例の進捗報告(資料を画面共有して話すだけの会議)
  • 1on1面談(1対1でよく、空間の演出効果が必要ない)
  • 契約・条件交渉など記録性が重要な商談
  • 15分未満のクイックな確認・すり合わせ

定例の報告会や1on1は、資料を画面共有して話すだけなので、空間を作り込む手間をかけずに、使い慣れたZoomやTeamsで開催する方が効率的です。メタバース会議は「雑談性」や「空間の演出」が議論の質に直結する会議に絞って使うのが、正しい使い分けだと考えられます。

なお、会議以外の日常的な雑談やコミュニケーション活性化全般の用途については、別記事「コミュニケーションの活性化にメタバースは最適か?」で幅広く解説しています。

主要メタバース会議ツールの比較

法人向けに提供されている主なツールは、大きく「常時接続型のバーチャルオフィス」「会議・イベント特化型」「VRゴーグル型」の3タイプに分かれます。2022年の記事執筆時点で有力候補とされていたMicrosoft MeshとMeta Horizon Workroomsは、2025〜2026年にかけて提供形態が大きく変わっているため、特に注意が必要です。

結論から言うと、ブラウザだけで気軽に始めたいならメタテル・oVice・MetaLifeのような常時接続型、既存のTeams環境を活かした大型イベントや研修ならTeamsイマーシブ イベントが候補になります。一方、VRゴーグルでの没入感を前提にした法人向け常設プラットフォームは、2026年時点で選択肢が限られている状況です。以下の表に、タイプ・料金目安・向く規模をまとめました。

ツールタイプ料金目安(法人向け・2026年時点)向く規模
メタテル(Urth)常時接続・ブラウザ完結月額10万円〜(BASIC/STANDARD/ENTERPRISEの3段階)中〜大規模
oVice常時接続・ブラウザ完結Business Starter 月額43,560円〜(20名込み、追加1名2,178円)中〜大規模
MetaLife常時接続・ブラウザ完結無料(25名まで)〜Business月額22,000円(50名、年払いなら19,800円)小〜中規模
Gather常時接続・ブラウザ完結Essential 1ユーザーあたり月額12ドル〜小〜中規模
Microsoft Teams イマーシブ イベント(旧Mesh)会議・イベント特化型主催にTeams Premiumライセンスが必要(参加者は通常のTeamsライセンスで可)中〜大規模
Meta Horizon WorkroomsVRゴーグル型2026年2月16日にサービス終了予定ー

料金は変更される可能性があるため、導入検討時は必ず各社の最新の公式サイトをご確認ください。

常時接続型バーチャルオフィス(メタテル・oVice・MetaLife・Gatherなど)

ブラウザだけで常時接続のオフィス空間を持てるタイプです。会議だけでなく、日常的な雑談や「ちょっと聞きたい」の解消にも使えるため、会議単体の導入というより「出社しているような感覚」を目的に選ばれることが多いタイプです。oViceは日本航空のパイロットスケジュールチームやトランスコスモスの全社導入など事例が豊富で、MetaLifeは無料プランから試せる手軽さが特徴です。常時接続のバーチャルオフィスとしての活用法やメリットは、別記事「メタバースでのオフィスとは!?ビデオ会議とも比較して徹底分析」で詳しく解説していますので、会議を超えて「常にそこにいる」働き方を検討したい場合はあわせてご覧ください。

Microsoft Teamsイマーシブ イベントとMicrosoft Meshの終了

Microsoftは2025年12月1日付で、スタンドアロン版のMicrosoft Mesh(PC・Questアプリ)およびTeams会議内の「イマーシブ スペース(3D)」ビューの提供を終了しました。後継にあたる「Teamsイマーシブ イベント」は、Teamsに統合されたバーチャルイベント機能として一般提供されており、主催にはTeams Premiumライセンスが必要ですが、共催者・参加者は通常のMicrosoft 365に含まれるTeamsライセンスで参加できます。対応環境はWindows・Mac・Meta Questです。2022年の記事ではMeshを会議ツールの候補として紹介していましたが、現在は単体の会議用アプリとしては使えない点に注意してください。

Meta Horizon Workroomsの終了

Meta Horizon Workroomsは、2026年2月16日をもってサービスを終了します。あわせて、Meta Horizonの法人向け管理サービスやQuestの法人向けSKUの販売も2026年2月20日で終了する予定です。Metaは代替として、Arthur、Microsoft Teamsイマーシブ、Zoom Workplaceなど他社のアプリを案内しています。VRゴーグルでの没入型会議を検討する場合は、特定のアプリへの依存を避け、継続性のあるサービスかどうかを事前に確認することが重要です。

メタバース会議の導入の進め方

メタバース会議は、ツールを契約すれば定着するというものではありません。実際に止まるのは「一度試して終わり」のパターンで、原因の多くは用途が決まっていないことと、社内の運用ルールがないことです。ここでは導入を3つのステップに分けて整理します。

ステップ1:用途を決めてツールを選ぶ

最初に決めるのは、常時接続のバーチャルオフィスとして使うのか、単発のイベントや研修として使うのかです。この2つは求められる機能が違い、常時接続型なら在席状況の見え方が、イベント型なら同時接続人数と空間演出が選定基準になります。社外のゲストを招く機会が多いなら、会員登録が不要でブラウザから入れるツールを選ぶと、参加のハードルを大きく下げられます。

ステップ2:小さく試して社内の反応を見る

いきなり全社展開はせず、1チーム・数回の会議で試します。試す前に、議題に応じた空間レイアウト(円卓型・講堂型・ブース型など)を1つ決め、参加者には招待URLとあわせて、ブラウザの動作確認とマイク・カメラの権限設定の案内を送っておきます。初回はファシリテーターが操作をひと言ガイドしながら進めると、「操作が分からず会議が中断する」という最初のつまずきを避けられます。

ステップ3:運用ルールを決めて定着させる

試用で手応えがあったら、続けるためのルールを決めます。録画を使うなら保存場所と閲覧権限、議事録は書記を置くのか自動文字起こしに任せるのか、決定事項はSlackやメールなど既存ツールのどこに残すのか。この3点を先に決めておくと、メタバース会議だけが情報の孤島になることを防げます。あわせて、どの会議をメタバースで行い、どの会議をWeb会議のままにするのかを明文化しておくと、使い分けが定着します。

導入前に知っておきたい注意点

メタバース会議には独自の注意点があります。導入前にこれらを確認しておくことで、「思っていたのと違った」という失敗を避けられます。

VR酔い・長時間利用による疲労

VRゴーグルを使う形式では、実際の体の動きと映像の間にズレが生じると、乗り物酔いに似た症状(VR酔い)が起きることがあります。立命館大学の研究では、実際の動きが映像に遅延して反映される場合や、視界が持続的に回転する場合に酔いが生じやすいことが確認されています。ブラウザ完結型のメタバース会議はVRゴーグルを使わないためVR酔いのリスクは低くなりますが、3D空間を長時間注視すること自体による眼精疲労は、通常のWeb会議と同様に起こり得ます。1回の会議を60〜90分以内に収める、長時間の会議では休憩を挟むといった配慮は、形式を問わず有効です。

通信環境・デバイス要件

3D空間の描画は、通常のビデオ会議に比べて通信データ量が増える傾向があります。Wi-Fi環境が弱い拠点や、スペックの低いPCを使っている参加者がいる場合は、事前に接続テストを行い、動作が重い場合は画質設定を下げるなどの代替手段を案内しておくと安心です。

参加への心理的ハードル

アバターの操作に不慣れな社員にとっては、最初の参加だけで心理的なハードルになることがあります。初回は操作説明会を開く、簡単な操作マニュアルを用意する、普段のWeb会議と並行して試験導入するなど、段階的に慣れてもらう工夫が定着の鍵になります。

録画・議事録の扱い

録画機能の有無や保存期間、ダウンロード可否はツールによって異なります。商談や社外とのやり取りを録画する場合は、参加者への事前の同意取得や、社内の情報管理ルールとの整合性を確認しておく必要があります。

企業の活用事例

会議・コミュニケーション用途でメタバース空間を導入している企業の事例を紹介します。いずれも各社・各サービスの公開情報をもとにしています。

日本航空では、パイロットのスケジュール管理を担うチームがoViceを導入し、離れた拠点にいるメンバー同士がすぐに声をかけられる環境を整えました。トランスコスモスは2,000名以上の規模でoViceを全社導入し、コミュニケーションの効率化に役立てています。医療教育分野のHITOTSUでは、MetaLife内に特設会場を設け、臨床工学技士38名を含む約50名が参加する新機能レビュー会をバーチャル空間で開催しました。いずれも、「資料を見せるだけ」のWeb会議では得にくい、参加者同士の距離感の近さを活かした活用例です。

よくある質問

最後に、この記事のテーマについてよく寄せられる質問をまとめます。

Q. メタバース会議にVRゴーグルは必須ですか?

必須ではありません。メタテル・oVice・MetaLifeなどブラウザ完結型のツールが増えており、PCやスマートフォンからアバターで参加できます。VRゴーグルは没入感を高めたい場合の選択肢の一つです。

Q. Zoom・Teamsとどちらを使うべきですか?

会議の目的によります。資料説明が中心の定例報告や1on1はWeb会議で十分です。雑談・ブレスト・懇親会など、空間や距離感を活かしたい会議にはメタバース会議が向いています。

Q. Microsoft MeshやMeta Horizon Workroomsはまだ使えますか?

Microsoft Meshは2025年12月1日付で単体アプリとしての提供が終了し、Teamsイマーシブ イベントに統合されました。Meta Horizon Workroomsは2026年2月16日にサービスを終了します。導入を検討する際は、必ず各社公式サイトで最新の提供状況を確認してください。

Q. 参加人数の目安はどれくらいですか?

ツールによって異なります。無料プランや小規模プランでは25〜50名程度までを目安とするものが多く、法人向けの上位プランでは数百名規模の同時接続に対応するものもあります。

Q. VR酔いが心配です。対策はありますか?

ブラウザ完結型のツールを選べば、VRゴーグル特有のVR酔いのリスクは大きく下がります。VRゴーグルを使う場合は、短時間の利用から始めて徐々に慣らし、疲れを感じたら無理せず休憩を挟むことが対策として有効です。

まとめ

メタバース会議は、資料共有中心のWeb会議を置き換えるものではなく、雑談や非言語コミュニケーション、空間の演出が議論の質に関わる会議に絞って使うことで価値を発揮する会議形式です。向く会議・向かない会議を見極めたうえで、常時接続型・会議イベント特化型・VRゴーグル型という提供タイプの違いと、各サービスの最新の提供状況を踏まえてツールを選ぶことが、導入を成功させる近道です。常時接続のバーチャルオフィスとしての活用を本格的に検討したい場合は、ブラウザだけで利用でき、伴走型の空間設計サポートが受けられる「メタテル」の導入もあわせてご検討ください。

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