メタバース記事

不登校とメタバース学習、どんな選択肢があるか最新事例で解説

不登校とメタバース学習、どんな選択肢があるか最新事例で解説

不登校の子どもの学びの場として、メタバースやVRを活用した取り組みが各地の教育委員会や民間事業者で広がっています。本記事では、最新の統計データと、継続・終了を含めた具体的な取り組みの状況、出席扱いの制度、向き不向きの考え方まで、保護者や教育関係者が選択肢を比較するための情報を整理しました。あらかじめお伝えすると、メタバースやVRはあくまで学びの場の選択肢の一つであり、不登校そのものを解決する手段ではありません。

不登校の子どもの数は過去最多に

不登校の小中学生は2024年度に35万人を超え、12年連続で増加し過去最多となりました。高校生を含めると40万人以上が学校を休みがちな状況にあり、学びの場の選択肢を増やす取り組みが各地で進んでいます。

小・中学校で35万3,970人、高校生も6万7,782人

文部科学省が公表した「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小・中学校の不登校児童生徒数は35万3,970人(小学校13万7,704人、中学校21万6,266人)で、前年度の34万6,482人から2.2%増加しました。高校生の不登校生徒数は6万7,782人です。小中学生1,000人当たりでは38.6人に上り、前年度の37.2人からさらに増えています。学校内外の専門的な相談・指導につながれていない児童生徒や、長期間欠席している児童生徒も一定数含まれており、学びの場の選択肢を広げる必要性が指摘されています。

調査結果の原典は令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(文部科学省)をご覧ください。

「学校に戻ること」だけがゴールではないという考え方

文部科学省は2023年に公表した「COCOLOプラン」などを通じて、不登校の子どもが「学びたいと思った時に学べる」環境を整えることを掲げています。学校への復帰だけを目標とするのではなく、学びの多様化学校(旧・不登校特例校)やオンライン学習、フリースクールなど、学びの場の選択肢を広げる方向性が国の施策としても示されています。メタバースやVRを使った学びも、こうした選択肢の一つとして各地で試みられています。

施策の内容は不登校対策(COCOLOプラン等)について(文部科学省)で公開されています。

メタバース・VRでの学びが選択肢になり得る理由

メタバースやVRの空間は、対面でのやり取りに負担を感じやすい子どもにとって、参加のハードルを下げる手段になり得るという報告があります。ただし効果の感じ方には個人差が大きく、すべての子どもに当てはまるわけではありません。

アバターでの参加が心理的な負担を減らすという報告

顔を出さずアバターで参加できることで、人と話すことへの不安が和らいだという声が、自治体の実証事業の報告書や運営団体の発表などで紹介されています。姿を見せる・見せないを選べる設計のサービスが多く、対面でのコミュニケーションに抵抗がある子どもにとって参加のきっかけになったという指摘があります。

自分のペースで学習に取り組みやすいという声

メタバース上の学習プログラムの多くは、一斉授業ではなく個別の学習計画に沿って進められます。登校時間や集団行動に合わせる必要がないため、生活リズムが乱れがちな子どもでも取り組みやすいという報告が、支援団体から挙がっています。

「やり直しがきく」感覚を持ちやすいという指摘

アバターを介した活動では、失敗しても現実の対面場面ほど引きずらずに済むと感じる子どもがいる、という指摘が支援現場からあります。もっとも、これは子どもの特性や状況によって受け止め方が異なるため、一律に効果を期待できるものではありません。

自治体・教育委員会によるメタバース活用の現状

メタバースを使った不登校支援は、国の実証事業をきっかけに始めた自治体が多く、継続して規模を広げているところと、期間を区切った実証段階にとどまっているところの両方があります。

自治体・教育委員会取り組み名運営状況(2026年10月時点)概要
埼玉県・さいたま市などメタキャンパス(富士ソフト「FAMcampus」)継続・拡大中2023年度に実証開始。2026年度は2年目で、参加自治体数は50、利用可能人数は約4,000人に拡大
大阪市教育支援センター(メタバース)モデル設置事業2026年9月から運用開始(2028年3月まで実施予定)外出が難しい児童生徒など約350人の利用を想定し、民間事業者へ委託
栃木県TOPPANのメタバース不登校支援サービス期間限定(2026年10月1日〜2027年3月31日)小・中学生、高校生(特別支援学校の児童生徒を含む)が対象
愛知県知立市NIJINアカデミーとの共創による取り組み継続中(2025年9月開始)メタバース校舎を通じて自宅から参加できる学びの場を提供
京都府綾部市など複数自治体共同利用型メタバース教育支援センター2026年5月開設・運用中複数の自治体がシステムや支援体制を共同で利用するモデル

継続・拡大している取り組み

埼玉県やさいたま市などでは、富士ソフトの教育メタバース「FAMcampus」を使った「メタキャンパス」が2023年度の実証から継続し、2026年度は参加自治体が50、利用可能人数が約4,000人まで拡大しています。愛知県知立市でもNIJINアカデミーとの連携による取り組みが2025年9月から続いています。

期間を区切った実証事業として進んでいるもの

大阪市は2026年9月から「教育支援センター(メタバース)モデル設置事業」を開始し、外出が難しい児童生徒など約350人の利用を想定して2028年3月までの実施を予定しています。栃木県ではTOPPANのサービスが2026年10月1日から2027年3月31日までの期間限定で導入されています。こうした実証事業は、期間終了後に継続するかどうかがそのつど判断されるため、お住まいの自治体の最新情報は教育委員会のウェブサイトなどで確認することをおすすめします。

民間のオンライン・メタバース型スクールという選択肢

自治体の事業以外にも、NPOや民間企業が運営するオンラインの居場所・学習支援サービスがあります。無料で使えるものから月数万円規模の有料サービスまで幅があり、内容や費用を比較して選ぶことが大切です。

NPOによる無料の居場所「room-K」

認定NPO法人カタリバが運営する「room-K」は、複数の自治体が設置する教育支援センターのオンライン版を全国で共有する仕組みで、1on1の面談や学習支援、進路相談などを無料で提供しています。2026年時点でもメディアでの紹介が続いており、運営が継続されています。

民間企業による有料のオンラインスクール

NIJINアカデミーのように、メタバース空間での学びを民間企業が提供するオンラインスクールもあり、費用は自治体の事業より高くなる傾向があります。たとえばNIJINアカデミーの「メタバース通学プラン」は月額25,443円(税込)、入学金33,000円(税込)が目安とされており、担任制やメンター制などのオプションを加えるとさらに費用がかかります。費用や提供内容はサービス・教室ごとに異なるため、資料請求や説明会で、学習内容・サポート体制・月額費用を事前に確認することが欠かせません。

VR教材・VR空間を使った学習ツール

株式会社テンアップの「VRschool」のように、VR空間での授業参加を可能にするツールを提供する企業もあります。顔の表情や仕草が伝わる設計など、対面に近い感覚を重視したサービスも登場していますが、いずれも「不登校の解決策」として提供されているわけではなく、学びに参加する方法の一つという位置づけです。

VR上の学習は登校扱いになるのか?

文部科学省の通知に基づき、一定の要件を満たせば自宅等でのICTを使った学習が指導要録上「出席扱い」になり得ますが、最終的な判断は校長が行い、実際の運用は自治体や学校によって幅があります。

観点要件の内容
保護者との連携保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
学習活動の形態ICTや郵送、FAXなどを活用した学習活動であること
対面指導訪問等による対面指導が適宜行われていること
学習計画児童生徒の学習の理解の程度に応じた、計画的な学習プログラムであること
校長の把握校長が、対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
学校外支援の状況学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない状況にあること
評価への反映学習成果を指導要録等の評価に反映する場合は、学校の教育課程に照らして適切と判断されるものであること

最終判断は校長、運用は学校ごとに異なる

出席扱いの制度は、要件を満たせば自動的に適用されるものではなく、学校や教育委員会との事前の相談・合意形成が前提になります。文部科学省の令和6年度調査では、学校外の機関で出席扱いとなった児童生徒が4万2,978人、自宅でのICT活用により出席扱いとなった児童生徒が1万3,261人と報告されており、対応する自治体・学校は年々増えていますが、取り扱いには地域差があります。利用を検討する際は、まず学級担任やスクールカウンセラー、教育支援センターに相談することが近道です。

出席扱いの人数は令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(文部科学省)に掲載されています。

メタバースでの学びが向くケース・向かないケース

メタバースやVRでの学びは、対人関係の負担を軽くしたい子どもに合う場合がある一方、対面での心理的なケアやデバイス環境が整わない家庭には向かないこともあります。どちらが良い・悪いという話ではなく、子どもの状況に合わせて選ぶことが大切です。

向いている可能性があるケース

人と顔を合わせることへの不安が強い、外出そのものが難しい、集団行動に疲れやすいといった子どもにとっては、アバターでの参加や個別ペースの学習が負担軽減につながる場合がある、という報告があります。

向かない可能性があるケース・注意したい点

強い不安や孤立感を抱えていて専門的な対面の心理支援が優先される状況や、医療的なケアが必要な場合は、メタバースでの学びだけでは十分でないことがあります。また、安定した通信環境や端末操作の負担、画面を見続けることによる身体的な負担も考慮が必要です。家庭の通信環境やデバイスの準備が難しい場合は、無理に導入せず、他の支援と組み合わせることを検討してください。

メタバースの学習を始める前に保護者・学校が知っておくべきこと

一つのサービスや方法に絞り込む前に、学校・教育委員会・地域の相談窓口と情報を共有しながら、複数の選択肢を比較検討することが大切です。

まず相談したい窓口

学級担任やスクールカウンセラー、教育支援センター(適応指導教室)、市区町村の教育委員会は、地域で使える制度やサービスの最新情報を持っています。メタバースを使ったサービスの利用を検討する場合も、出席扱いの可否を含めて事前に相談しておくと、後々の手続きがスムーズです。

比較するときに確認したいポイント

運営主体(自治体かNPOか民間企業か)、費用、対面での支援があるかどうか、出席扱いの実績があるかどうか、体験や見学ができるかどうかを比較すると、子どもに合う場かどうかを判断しやすくなります。期間限定の実証事業の場合は、終了後に継続するかどうかも確認しておくと安心です。

よくある質問

メタバースでの学びや出席扱いについて、保護者からよく寄せられる疑問をまとめました。結論からお伝えすると、どの疑問も「一律の正解はなく、学校や専門家への相談が前提になる」という点が共通しています。

メタバースでの学習は必ず出席扱いになりますか

必ず出席扱いになるわけではありません。文部科学省の通知に示された要件を満たした上で学校長が個別に判断するものであり、自治体・学校によって運用に差があります。

費用はどのくらいかかりますか

自治体が実証事業として提供するものは無料のケースが多く、NPOによる「room-K」も無料で利用できます。一方、民間企業が運営するオンラインスクールは月額数千円から数万円程度かかる場合があり、サービスごとの確認が必要です。

メタバースでの学びは、不登校のどんな子どもにも向いていますか

向き不向きには個人差があります。対人関係の負担を軽くしたい子どもに合う場合がある一方、専門的な対面支援が必要な状況や、通信環境・端末操作の負担が大きい家庭には適さないこともあります。学校や専門家と相談しながら検討することをおすすめします。

学校に相談せずにサービスの利用を始めてもよいですか

出席扱いを希望する場合は、事前に学校・教育委員会との相談が前提になります。相談せずに始めると、後から出席扱いが認められないこともあるため、利用を検討する段階で学校に伝えておくことをおすすめします。

自治体のメタバース事業と、民間のオンラインスクールはどちらを選べばよいですか

どちらが優れているというものではなく、費用や対象年齢、支援内容、お住まいの自治体が事業を実施しているかどうかで選択肢が変わります。自治体の事業は無料または低負担で利用できる一方、対象地域や期間が限定される場合があります。民間のオンラインスクールは費用がかかる分、対象地域を問わず利用でき、担任制など手厚いサポートを選べることがあります。まずは学校や教育委員会に、お住まいの地域で使える制度を確認することから始めるとよいでしょう。

サービスの詳細は「メタテル」、資料のご請求は「資料請求ページ」からご覧いただけます。

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