「テレビやネットニュースで企業がメタバースを導入した話を聞くようになったけど、医療業界でも使われてるの?」
メタバースがエンタメだけでなくビジネスとして使われる事例が増え、医療業界で働いている方なら、上記のような疑問を持つ方もいるでしょう。
「いろんな人とコミュニケーションできる仮想の空間」であるメタバースは、患者のメンタルケアなど、医療業界でも活用され始めています。
後ほど詳しく説明しますが、医療業界でメタバースを導入するなら、コミュニケーションツールとして活用するのがおすすめです。
そこで本記事では、メタバースが医療業界で活用されている事例や、どのような判断基準で導入すればよいかについて詳しく説明します。医療業界で活用できるメタバースサービスも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもメタバースとは
メタバースと聞いてどのようなものをイメージしますか?
きっと多くの方が、ヘッドセットを付けるものだと思っているのではないでしょうか。実はメタバースを活用するうえで、ヘッドセットは必須ではありません。
要するに、メタバースを活用するハードルはそれほど高くないということ。スマホやPCだけでメタバースは活用できます。
そもそもメタバースとは「いろんな人とコミュニケーションできる仮想の空間」のこと。会話するためにわざわざヘッドセットを使う必要はないですよね。
あくまでヘッドセットは、メタバース空間にいるという没入感を高める一つのオプション。大体のメタバースサービスはヘッドセットが無くても利用できます。
メタバースは万能ではない
注意して欲しいのが、メタバースの使い方は限定的だということ。よく映画やアニメで出てくるイメージのまま利用してしまうと「想像してたのと全然違うじゃん…」とガッカリするかもしれません。
メタバースは「オンライン上ならなんでもできる」と思われがちですが、実際はできることが限られているのです。
例えば、医療業界だと患者と医師がコミュニケーションする場であったり、医師同士の学会のイベント会場として使われたりしますが、身体的な診断や治療の場としては活用されていません。
これは一体どういうことかというと…
メタバースはコミュニケーションツールとして活用するのに適しているということ。現実とは違うもう一つの世界で暮らすというSF映画のようなものは、まだ先の話だということは覚えておいてください。
では、コミュニケーションツールとしてのメタバースが具体的に医療業界でどのように活用されているのか。次で説明します。
医療業界でメタバースが活用された事例
コミュニケーションツールとしてのメタバースが、医療業界でどのように活用されているのか気になるところでしょう。ここでは、具体的にイメージできるように、使い方が異なる活用事例を4つ紹介します。
それぞれ解説します。
大学病院をメタバース上に再現
順天堂大学医院がIBMと共同でメタバース上に病院を再現しました。
この事例では、以下3つの取り組みを軸に実用化に向けて、2024年までテスト運用しています。
- 来院前にメタバース上の病院で、どういう治療をするのかの擬似体験
- 外出が困難な患者が家族や友人とメタバース上で交流できる場を提供
- メタバース上での活動を通じてメンタルヘルスに疾患がある方の改善が図れるのかの調査
メタバース上に病院を再現する最大のメリットは、来院前にどういう治療をするのか擬似体験でき、現実での治療がスムーズに進められることです。
なにより、どういう治療をするのか具体的にイメージできるため、患者自身も心の準備がしやすくなり、心理的ストレスを減らせます。
がん患者がメタバース上で座談会
株式会社インテージホールディングスは、がん患者の座談会の場としてメタバースを導入しました。
がんという症状の特性上、他人に相談するハードルが高い方も多くいるでしょう。実際にメタバースを導入する前は「自身の姿を他者に見せたくない」「プライベートな話題は話しにくい」などの不安の声がありました。
しかし、座談会にメタバースを導入したあとの参加者からは、
「病気はかなりプライベートなこと。アバターを使って話せたので、安心して気持ちをさらけ出せた」
「顔を出さなくてよいので、自分の疾患について率直に深い話ができてよかった」
という好評の声が多く、患者同士の貴重な意見交換の場になったのです。
メタバースは、自分の分身であるアバターを通じて会話するため、対面では話しづらいことも気軽に話せます。また、アバターの見た目は自由に変更できるので、他人に自分の姿を知られることもありません。
実際の見た目が異なるアバターで会話をすると自己開示において効果的であるという研究結果も報告されています。本事例から、対面では話しづらい内容もメタバース上なら話しやすくなり、患者の正直な悩みを聞けることがわかります。
製薬会社がメタバース上で学会を開催
アステラス製薬は医師向けの学会や講演会の場としてメタバースを採用しました。実際に参加した医師からの評価は高く、満足度は80%に達し、リピートする意向を示した人は90%を超える結果となっています。
メタバース上で学会を開けば、多忙な医師でも業務の合間を縫って参加できるようになるのですが…
「オンラインで学会を開くならZoomみたいなWeb会議ツールと一緒じゃない?」と思う方もいるでしょう。
メタバースがWeb会議ツールと大きく違うところは、雑談など偶発的なコミュニケーションができること。近くにいるアバター(人)にだけ話しかけるというような現実と近いコミュニケーションが取れるので、医師同士の情報交換や人脈づくりとしてもメタバースが役立つのです。
Web会議ツールにはないコミュニケーションが取れたことで、医師からは「また参加したい」という声が多く挙がりました。
行政がメタバース上にクリニックを設立
福井県越前市では、こころの問題や悩みを抱える方やその家族が相談できる場所としてメタバースを活用しています。越前市民なら精神科医や保健師に無料で相談できます。
自分の分身であるアバターを通して相談できるので、対面で話すよりも緊張せずに悩みを打ち明けられるのは、メタバースならではの特徴です。
また、メタバース上で新しく事業を行う場合、現実世界の施設の確保や備品の準備は必要ありません。試験的に新しい事業を始められます。
実際に、本事例では2022年3月から試験的に行ったあとに、2023年2月14日から本サービス「越前市メタバースこころの保健室」を開設しました。
メタバースを医療業界で導入する判断基準
メタバースが医療業界で活用されている事例をみて「自分の職場でもメタバースを活用してもいいのか」と悩まれている方もいるのではないでしょうか?
メタバースを導入したからといって、上記の事例のようにうまく活用できるとは限りません。せっかくメタバースを導入するなら、多くの参加者に長く使ってもらいたいですよね。メタバースを導入するかどうか判断するには、以下2つの基準を参考にしてください。
- 利用する目的とメタバースの特性が合っている
- 導入コストが許容範囲である
メタバースを導入する判断基準について詳しく知りたい方は「自社はメタバースを導入するべきなのか?2つの判断基準をもとに解説」をご覧ください。
【目的別】医療業界で活用できるメタバースサービス
上記の判断基準をもとにメタバースサービスを導入したいと思った方もいるでしょう。ここでは、どのメタバースサービスを導入すればいいかわかりやすいように、目的別で紹介します。医療業界で活用できるメタバースサービスは以下の3つです。
それぞれ解説します。
医療従事者の交流を活性化させたいなら「Medical Verse」
医療従事者同士の情報交換や人脈づくりを活性化させたいならMedical Verseがおすすめです。
Medical Verseは医療従事者同士のコミュニケーションに特化したサービスで、1,000名規模の学会や講演会をメタバース上で行えます。
近くにいるアバター同士で話せることはもちろん、登壇者の声が聞きやすいように参加者の方全員に満遍なく声を届けることが可能です。現実の講演会よりも声が聞こえやすく、医師同士の情報交換もスムーズに進められます。
また、メールアドレスや氏名、病院名(会社名)がわかる名刺を交換できる機能も。学会が終わったあとで、誰と話したのかを見返せるのは便利ですよね。次のビジネスに繋げやすいだけでなく、人脈づくりにも役立ちます。
自社にメンタルケアサービスを導入したいなら「メタバースクリニック」
オンラインでも現実と同じように患者のメンタルケアをするのが目的なら、メタバースクリニックがおすすめです。
上記で紹介した越前市の事例では、メタバースクリニックが導入されています。本サービスを導入すればメンタルケアやカウンセリングをメタバース上で行えるのが特徴です。
アバターを通じての会話は自己開示性が上がるため、対面では打ち明けられなかった患者の悩みが聞けるようになるかもしれません。
運用方法としては、導入して自社で動かすというよりも、メタバースクリニックの運営者と協力して使う形になるでしょう。現に、本サービスを導入した越前市は、メタバースクリニックの運営者(精神科医)と市の保健師が協力して運営しています。
上記2つの目的に当てはまらないなら「V-air」がおすすめ
上記で紹介したメタバースサービスが、自社の利用目的に当てはまらない方もいるでしょう。そのような方には、弊社が提供するオリジナルのメタバースが作成できるV-airがおすすめです。
V-airは建築デザイナーが設計するため、順天堂大学医院の事例のように現実にある施設をメタバース上にそのまま再現できるのです。実際に、大学をメタバース上で再現した開発実績があります。
一からオリジナルのメタバースを作成するメリットは、多くのユーザーが参加できる空間から1対1でゆっくり話し合える空間まで、幅広い利用方法に対応できること。
メタバースを導入したあとに「こういう使い方のほうが、患者さんも使いやすいんじゃないか」とわかってくることもあるでしょう。程度にもよりますが、導入したあとの修正もオリジナルメタバースであるV-airなら、柔軟に対応できます。
上記で解説した2つのサービスが自社のやりたいことと異なる場合や、導入以降もメタバースの使い方を変更するかもしれないという方はV-airがおすすめです。
まとめ:メタバースは患者のメンタルケアに役立つ
医療業界でメタバースを活用するなら、コミュニケーションを活性化させるツールとして導入するのがおすすめです。アバターを使用しての患者のメンタルケアや、医療従事者同士の交流の場として役立ちます。
大学病院をメタバースに再現した事例のように、事前に入院を体験したり、医師から説明を受けたりして患者の心の負担を軽くする役割もあります。
メタバースを医療業界で活用したいと考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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