
フォートナイトがマーケティングに活用され始めている
近年、メタバースという言葉が注目を集める中、その可能性を最も象徴的に体現しているプラットフォームの一つがフォートナイトです。本記事では、そんなフォートナイトがどのようにして新しい形のマーケティングやブランド体験を生み出しているのか、そして企業がどのようにこのメタバース空間をビジネス活用できるのか、具体的な事例を交えながらご紹介します。
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フォートナイトとは
フォートナイトは、エピック・ゲームズ社が提供する大人気オンラインゲームです。2017年にリリースされた当初は「バトルロイヤルゲーム」として注目を集めましたが、現在では、世界中で約4億人以上のユーザー(日本国内は500万人)を抱え、ゲームの枠を超えた「コミュニケーションプラットフォーム」として進化を続けています。
フォートナイトには、以下の主に2つのゲームモードがあります。
・「バトルロイヤルモード」
・「クリエイティブモード」
1つ目は、多くの人がフォートナイトと聞いてイメージするであろう「バトルロイヤルモード」。このモードでは、最大100人のプレイヤーが広大な島で生き残りをかけて戦います。武器やアイテムを収集しながら、最後の1人(または1チーム)になるまで戦うスリルが特徴です。競技性の高いゲームプレイが魅力で、eスポーツシーンでも注目されています。
引用元:Epic Games, Inc「フォートナイト」
2つ目は、今回の記事で注目する「クリエイティブモード」です。このモードでは、プレイヤーが自由にマップやゲーム体験を作成できるのが特徴として挙げられます。自分でデザインした島を他のユーザーに公開したり、友人とカスタムルールで遊んだりと、ゲームとしての枠を超えたクリエイティブな可能性を秘めています。特に、「Unreal Editor for Fortnite(UEFN)」の登場によって、プロフェッショナルレベルのツールを使った本格的なコンテンツ制作も可能になりました。
引用元:Epic Games, Inc「フォートナイト」
このように、フォートナイトはプレイヤー同士がバーチャルな島で対戦を行うだけでなく、自由にマップやゲーム体験を作成できる機能も兼ね備えています。さらに、時には世界的有名アーティストによるライブイベントや、ブランドとのコラボレーションが実施される「総合エンタメ空間」となりつつあります。こうした状況から、フォートナイトは単なるゲームを超え、「メタバース」の一例として多方面から注目を浴びているのです。
※Urthが考えるメタバースとは、一言でいうと「様々な人とコミュニケーションができる仮想の空間」です。現在、メタバースは幅広い用途で活用されています。メタバース内でゲームでコミュニケーションを楽しむことはもちろん、世界中の人と会話ができるSNSやビデオ会議のような使い方が主流となりつつあります。いわば、メタバースはこれからの社会におけるコミュニケーションツールなのです。
メタバースについて詳しく知りたい方は「メタバース(仮想空間)とは?わかりやすく意味やメリットを解説」をご覧ください。
UEFN(Unreal Editor for Fortnite)とは
フォートナイトをビジネス視点で活用する上で鍵となるのが、UEFN(Unreal Editor for Fortnite)です。UEFNは、エピック・ゲームズ社が提供するフォートナイト用の高性能なクリエイティブツールです。このUEFNの登場によって開発者や一般ユーザーは、フォートナイトの世界内でより高度なカスタマイズが可能な体験型コンテンツを作成できるようになりました。UEFNでは、Unreal Engine(エピック・ゲームズ社が開発した3D制作プラットフォーム)の一部機能を利用して、詳細な環境デザイン、複雑なゲームメカニクス、そしてリアルタイムのイベントを構築できる点が特徴です。このツールにより、フォートナイトは単なるゲームの枠を超え、メタバース空間の拡張に向けた基盤を強化しました。たとえば、企業やクリエイターが独自のバーチャル空間を設計し、そこで商品を展示したり、イベントを開催したりすることが容易になっています。また、UEFNは初心者にも親しみやすいインターフェースを備えつつ、プロフェッショナルにも対応可能な柔軟性を持っていることから、メタバース時代における重要なツールといえるでしょう。
フォートナイトメタバースが注目される背景
フォートナイトは、有名アーティストらによる「体験型マーケティング」の実現という点でメタバース×ビジネスで注目されています。
たとえば、2020年にはアメリカのラッパー、トラヴィス・スコットがフォートナイト内でバーチャルコンサートを開催しました。コロナ禍で物理的にコンサートを行うのが難しかった状況で、解決策としてメタバースが活用された事例です。このイベントでは、トラヴィスが巨大なアバターとなり、プレイヤーが仮想空間内で自由に移動しながら音楽を楽しむという、現実では不可能な演出が実現されました。また、このイベントには実に1200万人以上のユーザーが同時参加したことでも大きな話題を呼びました。
さらに、アリアナ・グランデやマシュメロといった著名アーティストも同様のイベントを開催しており、音楽業界やエンタメ企業にとって、フォートナイトは新しいマーケティング手法を提供するプラットフォームとなっています。
引用元:Epic Games, Inc「フォートナイト プレゼンツ… リフトツアー フィーチャリング Ariana Grande」
引用元:Marshmello Holds First Ever Fortnite Concert Live at Pleasant Park
また、国内のアーティストである米津玄師もフォートナイト内で同様のオンラインコンサートを実施しました。2020年8月に行われたこのライブには、100万人以上のユーザーが参加し、米津玄師の特徴的な音楽と映像が仮想空間と融合することで、ユニークな体験が生まれました。
著者である私も実際にこの米津玄師のスペシャルライブに参加した経験があります。従来のライブに比べて参加のハードルが低く、チケット代が不要で気軽に楽しめる点が魅力的でした。また、フォートナイト独自の「エモート」(感情表現機能)を活用して他の参加者と一体感を共有することができ、現実のライブとは異なる新しいコミュニケーションが生まれました。特に当時はコロナ禍だったこともあり、現実で会えない代わりに友人と仮想空間で集まりライブを楽しむことで、コミュニケーションが活性化し、より仲を深めるための良い機会となったことは言うまでもありません。
引用元:米津玄師公式サイトより https://reissuerecords.net/2020/07/31/fortnite
フォートナイトのメタバースにおけるこれらの試みは、音楽業界に新しい可能性を示し、アーティストとファンをつなぐ新たな場を提供しています。
フォートナイトのZ世代の利用率とメタバースの相性
フォートナイトのユーザー属性
フォートナイトの主な利用者は、Z世代と呼ばれる1990年代後半から2010年前半に生まれた若者たちです。彼らは、幼少期からインターネットやスマートフォンに親しんできた「デジタルネイティブ世代」であり、オンライン空間を通じた交流やエンターテインメントを日常的に楽しんでいます。フォートナイトのユーザー層は、13歳から24歳の若年層が多くを占めており、SNSや動画配信サービスを積極的に活用して情報発信や消費を行っています。このため、フォートナイトは、若者文化やトレンドの発信源としても大きな影響力を持っています。
引用元:Business of Apps 『Fortnite Usage and Revenue Statistics (2025)』
他のプラットフォームとの比較
一方、同様のメタバース的要素を有するプラットフォームとして「Roblox(ロブロックス)」や「Decentraland」といったサービスの台頭が見られます。しかし、フォートナイトはその豊富なユーザー数、常時アップデートされるゲーム環境、グラフィック品質、そしてグローバル規模での知名度によって、メタバース市場でも優位な立場を築いています。こうした背景から、Z世代が集うフォートナイトは、若者層へリーチしたい企業にとって極めて魅力的な場であると言えるでしょう。
フォートナイトでのメタバースのビジネスでの活用方法と実際の例
1. ブランドコラボレーションによるマーケティング
フォートナイトは、さまざまなブランドとのコラボレーションによって注目されています。たとえば、スポーツブランドのNikeは、フォートナイト内で「エアジョーダン」シリーズをテーマにした限定スキンをリリースし、若者の購買意欲を刺激しました。また、ハイブランドのBalenciagaもフォートナイト内で専用の衣装を提供し、バーチャル空間でのブランド体験を可能にしました。このようなコラボレーションは、実際の店舗に足を運ぶことなく、ユーザーがブランドとインタラクティブに関わる機会を提供しています。
引用元:Nike’s virtual sneaker hunt Airphoria built using Unreal Editor for Fortnite
引用元:Balenciagaによるデジタルファッションがフォートナイトに登場
2. バーチャルイベントの開催
フォートナイトでは、企業や団体がバーチャルイベントを開催するための場として活用されています。たとえば、映画『スター・ウォーズ』シリーズのプロモーションでは、フォートナイト内で独自のイベントが開催され、新作映画のワンシーンをプレイヤーが体験することができました。また、アディダスといった世界的有名企業も、製品発表会やキャンペーンイベントを開催し、バーチャル空間での新しいコミュニケーション方法を模索しています。
引用元:Epic Games, Inc『5月4日だけじゃない! 2022年5月のフォートナイト x スター・ウォーズイベントは2週間に渡って実施!』
引用元:ADIDAS『adidas iconic three-stripes land in Fortnite, bringing customizable in-game cosmetics to players globally』
3. ゲーム内エコシステムを活用した新規ビジネスモデル
UEFNを使った独自マップ開発によって、ブランド独自の「テーマパーク」を構築したり、「スコア達成でクーポン配布」「インフルエンサーが出演するミニゲーム」など、ゲーム要素を取り入れたプロモーションが可能です。具体的には、トランスコスモス株式会社と渋谷未来デザインおよびEbuActionが共同で、フォートナイト内に「SHIBUYA CITY BOSS FIGHT」を公開した例が挙げられます。このゲームでは、子どもたちが楽しみながら親子で社会課題への意識を高め、マナー啓発を促進することを目的としています。プレイヤーが渋谷の街を再現した仮想空間でゴミを拾うなどの活動を通じて、ゴミのポイ捨て防止などのマナー向上を図ります。実際にイベント参加者へのアンケートでは、若年層の43%が「ゴミのポイ捨てをしない」と回答し、ゲームを通じた意識改革の効果が示されました。
参考事例:トランスコスモス社 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000342.000033690.html
4. 日本企業による先行事例
中には、「それって海外の企業だからできるのではないか」、「国内の企業でもできるのか」と思われた方もいるのではないでしょうか。ご安心ください。日本企業もフォートナイトを活用したメタバース戦略に取り組んでいます。たとえば、日産自動車は若者向けのプロモーション活動として、フォートナイト内にバーチャル展示場を設け、新型車の魅力を紹介しました。この展示場では、車両をバーチャル試乗できるなど、現実では実現が難しい体験が提供され、SNS上でも大きな話題を呼びました。
引用元:日産自動車『Nissan Electrify the World trailer | Created in Fortnite』
フォートナイトを企業で活用する際の注意点
1. ユーザーコミュニティとの接し方
フォートナイトの成功は、活発なユーザーコミュニティによる部分が大きいです。そのため、企業がフォートナイトを活用する際には、一方的な広告を配信するだけでなく、ユーザーとの「共創」の姿勢が求められます。たとえば、ユーザーが参加型で楽しめるイベントやコンテンツを提供することが重要です。より共創を加速させていくためにはYouTubeといった人気プラットフォームのように人気クリエイターに広告を依頼したり、コラボをしてもらったりすることが1つの案として考えられます。また、ユーザーのフィードバックを積極的に取り入れることで、企業イメージの向上にもつながります。
2. 技術的な面への理解とコスト
UEFNを活用してオリジナル体験を作るには、一定のゲーム開発知識やリソースが必要です。外部のクリエイターやゲームデベロッパーとの協業、または社内専門チームの結成など、開発体制を整えなければ効果的な展開は難しいでしょう。導入前には、必要なコスト・スキルセット、運用体制を十分検討する必要があります。
3. 知的財産権・ブランドリスク
フォートナイト内でコンテンツを制作する場合、著作権やブランドイメージを損なわないよう注意が必要です。利用規約や他社ブランドとの競合関係に配慮し、適切なクリエイティブガイドラインを設けることが重要です。若者向けの場は瞬発的なトレンドやミームが氾濫しやすく、その中で自社イメージがどう受け止められるか、リスクマネジメントを欠かせません。
4. プラットフォーム依存のリスク
フォートナイトは強大なプラットフォームですが、それに依存しすぎると、運営側の方針転換や技術的アップデートによって、ビジネスモデルが左右される可能性もあります。企業としてはフォートナイトだけに頼らず、他のメタバースサービスとの比較・組み合わせを検討し、複数チャネルでのマーケティング戦略を練ることが理想です。
Fortnite×metatellの可能性
弊社株式会社Urthでは、独自のメタバースプラットフォームである「metatell(メタテル)」を利用し、フォートナイトのクリエイティブモードに企業独自の空間を構築することができます。例えば、フォートナイト内に企業専用のバーチャル空間を構築し、製品展示会や従業員研修、採用イベントなどを実施することができます。そして「metatell(メタテル)」は、フォートナイトで作成した仮想空間を他のメタバースプラットフォームへもシームレスに展開でき、データの一元管理や運用効率を高めます。また、建築家の専門知識を活かした唯一無二の空間設計で、他社には真似できない没入感の実現を可能とします。この記事のタイトルにもありますように、これまでにない顧客体験や新たな価値創出を目指す企業に、Urthは最適なソリューションを提供します。
まとめ:フォートナイトを活用してメタバース時代の若者へリーチ
フォートナイトは、ゲームの枠を超えたメタバースプラットフォームとして、エンタメやビジネスの新たな可能性を広げています。特に、クリエイティブモードやUEFNを活用することで、企業やクリエイターが独自のバーチャル空間を構築し、インタラクティブな体験を提供できます。音楽ライブやブランドコラボ、教育イベントなど、多彩な事例がその成功を裏付けています。一方で、技術的リソースやプラットフォーム依存のリスクも考慮が必要です。フォートナイトを通じて実現するメタバースの可能性は、企業に新たな価値創出の機会を提供します。
また、フォートナイトを活用してメタバース時代の若者へリーチすることは、企業にとって革新的なマーケティング手法を提供します。Urthが提供する独自のメタバースプラットフォーム「metatell(メタテル)」では、フォートナイト内で作成したバーチャル空間を他のメタバースサービスにも展開可能で、より効率的な運用を実現します。さらに、建築家の専門知識を活かした没入型空間設計により、唯一無二の体験を提供し、ブランド価値を向上させます。フォートナイトと「metatell(メタテル)」の組み合わせで、企業は若者への効果的なリーチと持続的な顧客体験を構築できます。

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