メタバースが大きく取り上げられ、今年は様々な面でのビジネス活用も広まっています。その中で、今回は、メタバースが不動産業とはどれほど相性が良いのか、その関係性を取り上げます。
1.不動産×VR/メタバースの現状とは
2020年に新型コロナウイルスの流行が始まってから、人々の働く環境は大きく変化しました。リモートワークが普及し、オフィスの空室率が上昇し、オフィス不要論まで飛び出してきたのがこの2年ほどの流れです。
コロナの流行に落ち着きが見られ始めたここ最近、個人的な感覚ですが出社率も以前より上昇し、コロナ前に少しづつ戻りつつあるなと感じています。特に銀行をはじめとする金融業は100%出社に戻していると聞きます。
一方でIT業界やコンサルティング業界については引き続きリモートワークを継続する流れにあり、NTTの取り組みがいい事例です。
コロナ禍ではZoomやTeamsといったコミュニケーションツールが普及しました。出社率が上がっても、オンライン会議がなくなることはないでしょう。オフィスとオンラインツールの融合が今後不動産業界に求められるポイントになってくると私は考えています。
その中で、不動産とVR(仮想現実)技術の現状について少し紹介します。また後述に不動産とメタバースについて触れますが、こちらの詳細はまたの機会にでもお話できればと思います。
不動産とVRと聞いて、一番に思い浮かぶのはなんでしょう。おそらく引っ越しをする際の内見がVRで可能になったことでしょうか。
「不動産 VR」と検索すると、実際の賃貸物件をVR空間で内見できるようにするサービスが多くヒットします。
下の画像のように、物件の外見はもちろん、物件の内装までVR上で見学することができます。
(株式会社VR HPより参照 https://fudosan-vr.jp/#company )
しかしながら、VR上に物件を取り込む技術・サービスが発展したとしても、不動産賃貸業者や不動産ポータルサイトがこれらのサービスを導入しなければエンドユーザーである私たちには有用ではありません。
SUUMOやHOME’Sに代表される不動産ポータルサイトではまだまだVRでの物件見学が可能とまでは言い難く、街の不動産屋さんにおいても導入する企業が少ないことが現実です。
なかなか普及しない要因の一つはコストです。一つの物件をVR空間用にスキャンするためには今のところ数十万円のコストがかかり、数多くの物件を仲介する不動産仲介業者にとっては採算の合わないサービスになっていると考えられます。
より安価でより手間の少ない上記のようなサービスが生まれると爆発的に普及するかもしれませんね。
不動産×メタバースはどうでしょうか。メタバースでは、現実にないオンライン上の空間を用います。メタバースで不動産となると、これはアメリカなどで話題のメタバースの不動産投資が一番に思い浮かぶでしょう。日本ではあまり馴染みがありませんが、特にアメリカでは2021年ごろからメタバース内の土地に投資するという動きが活発になっています。
不動産投資ファンド「リパブリック・レルム」はメタバースプラットフォームビジネス「TheSandbox」内の土地を430万ドル(約4億8800万円)で購入しています。カナダの投資会社が「Decentraland」というプラットフォーム上の土地を約250万ドル(約2億8450万円)で購入しています。
難しい話のように聞こえますが、これらはいたってシンプルなお話です。「どうぶつの森」で例えるとしましょう。どうぶつの森には村や施設、川や海がゲーム上の空間にたくさん存在します。これがメタバース空間です。この空間を皆が使うことができ、手に入れたアイテムや土地を自由に売買できるようになります。要するに現実の土地と同じ価値がメタバース空間上にもつくだろうと予想されているのです。
仮にメタバース上に持っている土地の横に某有名ブランドの店舗ができたとしましょう。そうなるとそこの店舗周辺にユーザーが集まって来ることが容易に想像できます。そこの隣に出店したいと考えた別の企業がその周辺に土地を買う→土地の価値が上がる。現実と同じサイクルがメタバース空間でも起きうるだろうと予想した投資家が現状動き初めているということです。
2.不動産業界について
不動産業界は実は結構クローズドな業界です。B to Cの業種もあればB to Bの業種もあり、一般的に想像されるのはB to Cである不動産仲介業だと思います。しかし、不動産にはさまざまな業種、業態があるのですが、ここで踏み込んだ話をしても仕方がないので、代表的な職種を紹介します。
1.不動産仲介業
不動産仲介業は賃貸の場合は賃貸人と賃借人、売買の場合は売り手と買い手の契約の仲介をして報酬をもらうビジネスモデルです。街の不動産屋さん、不動産ポータルサイトはこれに当てはまります。
2.不動産投資・運用業
不動産投資業は収益物件に投資し、毎月得られる賃料などのインカムゲインと、物件売却の際のキャピタルゲインで収益を上げるビジネスモデルです。物件の良し悪しを見る目が非常に重要になってきます。不動産ファンドや不動産投資信託(J-REIT)などもこの分野といえるでしょう。
個人だとマンションの一室を投資物件として購入することが知られますが、法人だとオフィスビルや商業ビル、マンションを一棟丸ごと購入し、運用することはよくある話です。
3.不動産開発業
不動産開発業はその名の通り、土地を仕入れて、そこに不動産を開発し、運用または売却して収益を上げるビジネスモデルです。いわゆるデベロッパーですね。三菱地所や三井不動産といった財閥系で良い立地に土地を持っていることが優位に働く業界です。また開発資金は数十億から数百億にものぼり、資金力も大切な業界といえるでしょう。
3.不動産業界とVR/メタバースのシナジー
先ほど、日本の不動産業界について少しご紹介をしましたが、それぞれの業界とVRのシナジーについて考えていきたいと思います。
1.不動産仲介業
こちらについては冒頭で説明のとおり、VR上で内見ができるサービスが数多く存在しています。一方普及しているかと言われればそうでもなく、改善が必要になることでしょう。
サービスの提供者側からするとコストの削減が最重要項目です。一つの物件で数十万円かかるようなサービスでは不動産仲介業者やアセットオーナーが導入することのハードルは高く、結果として消費者の我々にもそのサービスの利便性が享受されません。
2.不動産投資・運用業
不動産投資業は投資前の物件のクオリティや立地条件の把握が非常に大切です。物件を実際に見ることが可能であればそれに越したことはないのですが、今回のコロナのようなパンデミックが起きて移動制限がかかってしまうと不可能になってしまいます。
それではこのコロナ禍で不動産投資業界が完全にストップしたのかと言われるとそうではありません。コロナ禍においても、電通が本社を売却したり、西武HDがホテルを海外ファンドに売却したりと活発な動きを見せています。ウソのように聞こえてしまいますが、海外の不動産ファンドや個人富裕層が東京の一等地というだけで物件を実際に見ずに購入してしまうケースが後を絶ちません。
ビル一棟をVR空間上で内覧できれば、買い手、売り手双方にメリットがあるに違いありません。
3.不動産開発業
この業界に関しては、開発前にVR空間に開発後の物件を再現できれば、開発中のリーシング活動に役立つことでしょう。マンション等のレジデンスに関しては、現状モデルルームを作って、販売活動を進めていきますが、部屋からの眺め、実際の物件の雰囲気は完成してからでないとわかりません。オフィスに関しても完成後にイメージと違うようなことがあれば、とても残念です。大きな買い物だからこそ、満足いく買い物にして欲しいものです。VR技術とのシナジーがそれらを実現する可能性が大いにあると考えています。
さて、ここまで不動産業界とVR業界の関係性について、大まかに説明してきました。不動産業界は比較的、流行に鈍感な業界です。不動産電子取引が可能になりましたが、浸透するにはまだ時間がかかることでしょう。しかし高度情報化社会において新しいサービスやモノを取り入れる姿勢がなければ、いくら流行に鈍感な不動産業界といえど、そのサービスや物件は陳腐化してしまいます。
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