メタバース記事 2023.10.23

アパレル業界でメタバースをうまく使うには?4つの事例をもとに解説

アパレル業界の方で「メタバースを活用したいんだけど、うまく使うにはどうしたらいいんだろう」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?

そこで本記事では、アパレル業界で行われて4つの事例をもとに「何を狙ってメタバースを導入したのか」「どのように使っているのか」を解説します。

各事例の解説は、2020年から法人向けメタバースサービスV-airを展開している株式会社Urthの代表取締役である田中大貴が行っています。

今後、アパレル業界でメタバースをうまく活用していきたいと思っている方はぜひ最後までご覧ください。

事例1.ルイヴィトン

LVMHグループの世界的ラグジュアリーブランドであるルイヴィトンが、NFTゲーム「LOUIS THE GAME」をリリースしました。

NFT(Non-Fungible Token)とは、簡単に言うとデジタルデータに「このデジタルデータはAさんのもの」と所有権を付与できる技術のこと。

そのNFTを採用したLOUIS THE GAMEは、6つの仮想の世界(ワールド)に隠されているアイテムを自分の分身であるアバターを操作しながら探索するゲームです。

本ゲームをクリアすると、NFTアートを抽選でゲットできる資格が貰えます。NFTアートの制作に携わったのが、過去に約75億円で落札された実績があるBeeple(ビープル)氏ということもあり、NFT界隈では一気に注目が集まりました。

解説「メタバースとNFTの話題性が拡散力を生む」

田中:LVMHグループは、メタバースやNFTなどの次世代のコンテンツを使ったマーケティングに関して、ほかのアパレルブランドよりも一歩抜きん出ています。

今回のルイヴィトンのNFTゲームもその最たる例でしょう。ゲームをリリースすることで、若い世代に認知してもらう狙いがあると思います。若い世代は、SNSを駆使するのがうまいので、友だちや知り合いにシェアしてくれる可能性が高いです。

また、ゲームというコンテンツ自体にも人にオススメしやすいという特徴があります。例えば、面白い動画や記事を見つけても誰かにオススメするというのは、経験として少ないのではないでしょうか?

それよりも「〇〇っていうゲーム面白いよ!」と他人にオススメされたり、したりする経験のほうが多いかと思います。

さらに、メタバースそのものにも、話題性があるためNFTゲームと組み合わせることで、相乗効果が生まれ拡散力がより高まるのも考えられますね。

また、世界の子どもたちは可処分時間(1日に消費できる自由な時間)のうち、3時間もROBLOXに使われているそうです。これはYoutubeの3倍、TikTokの1.8倍です。

つまり、ゲームというコンテンツは、人々の可処分時間を多く取れるので、目にしてもらう確率も上がるということです。ゲームというコンテンツの拡散力の高さと可処分時間の長さをうまく利用した事例といえますね。

事例2.BEAMS

国内最大手セレクトショップであるBEAMS(ビームス)は、世界最大のバーチャルイベントである「バーチャルマーケット(V-ket)」に出展しました。

バーチャルマーケットは、夏と冬の年2回、メタバース上で各企業が出展するイベントです。開催するたびに、100万人以上のユーザーが訪れており、バーチャルマーケットを楽しみにしている方も多く、メタバース業界での風物詩となっています。

BEAMSは2020年からバーチャルマーケットに参入していて、アパレル業界の中でも、いち早くメタバースに力を入れている企業です。バーチャルマーケットのBEAMSでは、アバターが着る服を試着できたり、実際に購入できたりします。

アバターが着用している服は、現実でも着れるように同じデザインのものが販売されています。メタバース上の店舗を出したことで、結果的にBEAMS自体に興味を持ちリアル店舗にも足を運んでくれるようになった事例です。

参考:ビームスが「VRから店舗への送客」に成功したワケ

解説「自社の強みをうまく活かした事例」

田中:BEAMSは国内のアパレルブランドの中でも、特に先鋭的な施策を行っているのを目にします。バーチャルマーケットの出展も、アパレル業界でも注目されていました。今回の事例の狙いは、顧客との新しい接点を生み出すことだと思います。

普段、セレクトショップに行かないような層に対してもBEAMSというブランドを知ってもらう場としてバーチャルマーケットを活用したのでしょう。BEAMSの特徴といえば、なんといっても「イケてる店員さんの接客」ですね。

リアル店舗には足を運べなくても、メタバースではアバターを介しての利用になるので、現実よりも入店するハードルは低い。面と向かって話さなくてもいいので、緊張もしづらいですよね。

そこで実際に店員さんと話してみると、案外優しかったり、気が合ったりと新たな発見が生まれます。

さらに、メタバース上での接客は、従来のオンラインショップと異なり、店員さんの話し方や、雰囲気が感じやすいのも特徴です。BEAMSの強みである店員さんの接客もうまく伝えられるようになっています。

結果的に「バーチャルマーケットのBEAMSが面白かったから、リアル店舗にも行ってみようかな」という新たな送客経路も見つけることができています。

BEAMSの事例からもわかるように、どれだけ自社の強みを理解できているか、その強みをどこで発揮すればいいのかを考えるのが大切です。今回はBEAMSの強みとメタバースの特性がうまく組み合わさったことで、ここまでの成果が出せたのでしょう。

事例3.ZARA

事例3.ZARA見出し画像
出典:セブツー

ファストファッション業界を牽引するZARAは、ZEPETOとコラボしました。ZEPETOは、特に10代から支持を得ているメタバースサービスです。

アバターを使って、おしゃれな洋服を着たり、ZPETO上にある個性的な仮想の世界(ワールド)で友だちと記念撮影したりして遊びます。従来のサービスで例えるなら、Instagramが近いでしょう。

ZARAもBEAMSと同様に、アバターが着る服と同じデザインのものを現実で購入できるようになっています。洋服だけでなく、バッグやコスメも取り扱っているのが特徴です。

参照:【ZARA】メタバースコレクション第2弾を発表。「ゼペット(ZEPETO」でもアバターの服として展開

ZEPETOでは、おしゃれ好きなユーザーが多く、ファッションの感度が高いです。低価格でハイブランドのようなデザインの服を取り扱うZARAの顧客層とうまくマッチした事例といえるでしょう。

解説「狙った世代と相性がいいプラットフォームを利用する」

田中:第2弾もやっているということは、第1弾もうまくいったのでしょうね。ZEPTOは、東アジアを中心に人気のメタバースサービスです。特にα世代(2010年代生まれ)からの人気があるのですが、その層を狙った施策だと思われます。

α世代は、主体的に動けるプラットフォームを求めている傾向があります。自分の分身であるアバターを通じて、ほかのユーザーと主体的に交流できるメタバースは、α世代と相性がいいんです。

今回のZEPETOとのコラボでは、そういった世代の認知拡大が目的なのではないかと思います。

例えば、LINEで相手が面白いスタンプを送ってきた時に「それ、なんのスタンプ?」と思いますよね。そして、何のスタンプか調べる。気に入ったら自分もダウンロードするという感じ。

ZEPETOも同じで、友だちのアバターがおしゃれな服を着ていて「どこの服なんだろう」と思う。そこでZARAの存在を知るという流れです。

事例4.NIKE

スポーツウェアブランドのNIKEは、欧米を中心に人気を博しているメタバースゲーム「ROBLOX(ロブロックス)」とコラボしました。

ROBLOXでは、ユーザーが制作したゲームを自由に遊ぶことができ、特に人気の高いものは収益化も可能です。ユーザーが自由にコンテンツを提供できる点や収益化できる点からYouTubeのゲーム版といわれることもあります。

NIKEは、そのROBLOX上に「NIKE LAND」というワールド(ゲームを楽しめるフィールド)を設置しました。そこでは、鬼ごっこやドッジボールなどが楽しめます。また、スマホの加速度センサーを利用して、現実で運動しながらメタバース上でもアバターが運動できるシステムを導入しています。

メタバース上でゲームをしながら、現実での運動の楽しさを伝えられるようになっています。

解説「フォロワーになってもらい継続的に情報を届ける」

ROBLOXやZEPETOは、InstagramやYoutubeのようにそのコンテンツを気に入ってくれたユーザーが、フォロワーになってくれると、継続的に情報を届けられます。

NIKEのNIKE LANDは、Youtubeのようにフォロワーを増やすのを狙った施策だと思われます。実際にNIKE LANDで遊んでもらって面白いなと思ってフォローしてもらう。フォローしてもらえれば、継続的に情報を届けられます。

そういったユーザーが、実際にアパレルショップに行った時に、最初に手に取るのはおそらくNIKEの商品でしょう。

そもそもROBLOXは、世界的にユーザー数が多く、1日で100万人が遊ぶメタバースゲームです。膨大なユーザーにリーチできるというのもNIKEの狙いだと考えられます。ルイヴィトンの事例でも解説したように、ROBLOXにあてる可処分時間はYoutubeの約3倍です。

ユーザー数の多さだけでなく、可処分時間の長さもファンになってもらうための条件として重要なのだと思います。

まとめ.認知拡大が目的なら既存のメタバースプラットフォームを。でもそれ以外なら?

本記事では、以下4つのアパレルブランドの事例をもとに解説してきました。

どの事例も共通していえるのは、認知拡大を目的として既存のメタバースプラットフォームを利用していること。

今までに取りこぼしていた顧客層へのリーチや新しい世代への認知拡大には、ROBLOXやバーチャルマーケットなどの、ユーザーが集まるメタバースプラットフォームを利用するのがいいでしょう。

では、認知してくれたユーザーがファンになった後には、どのような施策を打てばいいのでしょうか。次の施策としては、カスタマーサクセスや顧客醸成が考えられます。実はここにもメタバースが使えます。

そのブランドを知っているユーザーに対してわざわざ既存のメタバースプラットフォームを利用してもらうのは、手間がかかります。

利用するにはアプリのダウンロードが必要だったり、ほかの競合ブランドを知るきっかけになったりと、顧客を取りこぼしてしまうかもしれません。

アプリのダウンロードをせずに、URLをクリックするだけでメタバースにアクセスできたほうが、ユーザーとしても利用しやすいはずです。

弊社が提供するメタバースV-airは、URLをクリックするだけでメタバースにアクセスできたり、ブランドの世界観に合わせた自社専用のメタバース空間が作成できます。

ファンとの関係性の構築や顧客ロイヤリティの向上に力を入れたいなら、自社専用のメタバースプラットフォームを持つことをおすすめします。

そもそもメタバースを自社に導入すべきかどうかわからない方は「自社はメタバースを導入するべきなのか?2つの判断基準をもとに解説」を参考にしてください。

また「自社だとどう使うのか適切なのか相談したい」方はお気軽にお問い合わせください。2020年から法人向けのメタバースサービスを展開している弊社のスタッフが対応いたします。

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