導入事例 2024.06.24

【採用×メタバース】新卒学生獲得に新たな一手|メタバース空間で企業の魅力をリアルに体感

5つのセグメント(ICTソリューション、電子・デバイス、食料、鉄鋼・素材・プラント、車両・航空)を持ち、幅広い分野で事業を展開する総合商社の兼松株式会社(以下兼松)。ラーメンから宇宙まで多岐にわたる商品・サービスを扱い、グローバルなネットワークと高い専門性を武器に、商取引から物流、リスクマネジメントに至るまで多種多様なソリューションを実現してきました。

同社は新卒採用において地方出身者が多いことから、オフィスの雰囲気や働き方を十分に伝えきれていない課題を抱えていました。オンライン化の台頭や説明会の参加者減少により、企業理解を深める機会が失われつつあったのです。

そこで実験的に導入したのが、メタバースの「V-air」でした。V-airで実際のオフィスをメタバース上で再現し、学生がオンラインでありながらも会社にいるような雰囲気を体感できるようにしました。

本記事では、メタバースの導入を考案したIT企画部の小松様と人事部採用担当の山本様、V-airの導入を支援したUrthの田中大貴がこの取り組みを振り返ります。メタバースによる課題解決の実例に加え、総合商社ならではの多様な活用シーンにも注目します。

オンラインでありながらも企業の魅力を十分に伝えたい


兼松株式会社IT企画部の小松様

田中:兼松は総合商社ということもあり、多種多様な課題を抱えられていると思います。その中で、人事部の採用シーンでメタバースサービスであるV-airを活用していただいてますよね。数ある部門の中でなぜ「採用」で導入しようと思ったのでしょうか?どのような課題を抱えられていたのかをお聞きしたいです。

小松:実は、メタバースの導入を検討している初期の段階では営業部で活用してみようという話がありました。ただ話を詰めていく中で営業部で活用するのは現段階だと難しいということが分かり、ほかの部門で活用できないかを模索していました。その中で候補として出たのが人事部の採用活動でした。

ちょうど本社も移転するタイミングで、新しいオフィスを活用したメタバースが採用活動にも使えるのではないかとということがありまして。

山本:採用の部分でも、今まで登壇していた各大学の学部内説明会に学生さんが以前よりも来なくなってしまっており、弊社の魅力を伝える機会が減少していました。オンライン化の影響により、学生との接点が減っているのが悩みでした。

兼松は、地方出身者の社員が多いのでその文化を大切していきたいという考えがあります。社員としても自分の出身大学の学生さんに来ていただきたい。九州や北海道の社員も多く、そこへのアプローチ方法としてZoomなどのオンラインで採用活動をしていました。Zoomを活用することで採用は一定できるものの、対面と比較した際に魅力を十分に伝えるのが難しい状況でした。

その解決策として、地方大学限定のイベントに登壇していました。もちろん、インターンシップも1つの手段ではあるのですが、九州での開催となると、エントリーもなかなか集まらず、結局大阪と東京でしか実施ができませんでした。地方の学生さんに弊社を深く知ってもらう機会がなかなか作れていませんでした。

このように、オンラインでも自社の魅力を十分に伝える施策を模索していたときに、ちょうどIT企画部の小松からメタバース導入の話が来ました。

V-airはオリジナルメタバース空間活用が「制作期間」と「価格」の面でスモールスタートしやすかった


兼松株式会社人事部採用担当の山本様

田中:他にもメタバースサービスがある中で、なぜV-airの導入を決めたのでしょうか?

小松:弊社のスタンスとして「新しいことはとりあえずやってみる」というのがあります。様々なメタバースサービスを比較検討する中で、制作期間の短さや価格面からスモールスタートしやすいV-airを導入しようと決めました。

また、VRゴーグルやアプリのダウンロードが必要なく、URLのみでアクセスできる点も決め手のひとつでしたね。

田中:実際に導入するにあたって、懸念点等はなかったのでしょうか?

小松:予定されている制作期間の短さと価格の安さが魅力的な一方で、メタバース自体の完成度がどれくらいのものになるのかは心配でした。

山本:私も正直メタバースが身近なものではなかったので、完成イメージが沸かなかったのは懸念していました。

田中:その懸念点はどのように払拭して導入までに至りましたか?

小松:商談の際に、サンプルを見せてもらったり、制作が進む途中で段階ごとに制作過程を見せてもらったりしました。拝見したメタバースの完成度が高かったのでそこで払拭できたのかなと思います。

弊社としても制作途中のメタバースが見れると早い段階で活用のイメージがしやすかったです。また、「ここはこうしたほうがいいんじゃないか」という新しいアイディアも生まれやすくて良いなと思いました。

また、制作の段階で、本社の設計を担当された会社様にも入っていただいた点は良かったです。結果的に納得のいくメタバース空間が作れました。

山本:V-airは完成品ができてからも、カスタマイズできる機能がありますよね。そこでV-airの機能や使い方が分かってきて、こういうイベントがあったら面白いなというイメージが湧きました。

私はメタバースを作る過程で何に使えるかのイメージをするのは正直難しかったです。ただ、完成後に実際に触ってみてからは活用のイメージが湧いてきましたし、活用開始後にもカスタマイズできるのは懸念を払拭できる安心材料のひとつでした。

一歩踏み込んだ学生の印象に残る説明会を目指して

田中:現在、V-airはどこでどのように活用されていますか?例えば、従来の業務の代替ツールとして使っているであったり、全く新しいアプローチ法として使っているかなどをお聞きしたいです。

山本:今はインターンシップの応募者向けにV-airを活用したイベントを実施しています。具体的には、40分ぐらいのイベントで、前半はGoogle Earthのような画像空間をベースにオフィスを案内して、後半にメタバースのV-airに移動する流れです。

V-airでは兼松のカフェテリアを再現していただきました。カフェテリアではご飯を食べたりするので、こういう場所でごはんが食べれますとか、会社でのリアルな過ごし方を紹介します。

一通り紹介が終わると、画面をタップして違うメタバース空間に移動し、働き方についての質問を受け付ける座談会を行っています。

目指すのは、ただ働き方を説明するのではなく、メタバースを通じてより現実に近い体験をしてもらうことで、学生さんの印象に残るような一歩踏み込んだオンラインイベントです。

田中:オンラインということは、イベントの前半はZoomですか?

山本:そうです。最初はZoomで会社の説明をして、そのあとメタバースに移動します。

田中:Zoomからメタバースに移動するというのは、学生さんにとって初めての経験となる方が多いと思います。移動の段階で離脱してしまう学生さんはいませんでした?

山本:学生さんはV-airを触るのは初めてですが、操作不良での離脱はなく各々が自分なりに自分の分身であるアバターを動かしていました。特に大きな問題もなくスムーズに運用自体はできていたと思います。

田中:スムーズに運用できたのはURLでアクセスできるみたいなところがあったり、アプリのダウンロードがいらなかったりするところは、大きいと感じましたか?

山本:はい。そこはやっぱり大きいと思います。

田中:参加者がURLをクリックするだけでメタバースにアクセスできるのは、利用のハードルを下げてくれますよね。今後はメタバース的なプラットフォームに慣れている世代の学生さんがどんどん就活されていくので、参加するハードルはさらに下がるかもしれませんね。

V-airを活用することでオンラインなのに、現実と近いコミュニケーションができるようになった

田中:今回お話していただいているご経験は、貴社にとって初めてのメタバースでの取り組みだと思います。実際にV-airを活用されてみて、学生さん含め周りの反応はいかがでしたか?

山本:学生さんから多かったのは、「今までのオンラインだと、どんな場所で働くかが本当に分からなかった。今回のメタバース空間では会社での福利厚生や働き方をリアルに体感できた。」という意見です。

ここは私も懸念していた部分で、よく福利厚生とかを語る機会はありますけど、それらの制度の話は自分の身に置き換えて具体的に想像するのが難しいものですよね。しかし、今回の採用におけるメタバース活用では、どういう場所で勤務をするのか、どこに座るのかなどオンラインでは全然想像つかないのものを、知っていただくいい機会を作れたなと思います。

あとは、単純にメタバース上で行うイベント自体が滅多にないので、その新鮮さも学生さんには好印象でした。就活イベントはつい情報収集だけが目的になってしまいますが、その中でゲーム性を持たせた新しい体験ができるのは興味をもってもらううえでも有効な使い方だと思います。実際に学生さんからも「楽しかった」というお声をいただくこともありました。

田中:会社説明では写真でもオフィスの紹介をするかと思います。写真とメタバースでの説明の違いはありますか?

山本:Zoomで写真を使った説明は、双方向のコミュニケーションツールとしては使えません。一方でメタバースは、誰が喋ってるのかを確認して、その方向に向かって話せるので、コミュニケーションツールの中でも、現実に近い会話ができると感じました。

また、メタバース上の説明会の場合、学生さんが説明を聴きながら興味のある場所に勝手に移動したりするんですよね。そういうのもあって、メタバースが良いなと思うのは、自分で知りたい情報を得られる空間であること、学生さんが能動的に企業のことを知ろうとしてくれるところです。

田中:メタバースでは、Zoomと違って近くにいる人同士で喋れたり、遠くにいる人の声は小さくなったりと個々で会話ができます。御社のイベントでいうと、人事部の方が二人で入られて、それぞれ質問対応したり、学生さん同士で会話されたりとかは起きたりしましたか?

山本:今回作成していただいたメタバースには「オーディオゾーン」というのがあります。その空間に入った人は、その空間内にいる人の声しか聞こえなくなります。そこで二つのルームに分けて、一部屋に一人、採用担当が質問対応するという形をとっていました。

面白かったのが、たまたま私のPCの回線が切れてしまい、また繋ぎ直したら学生さん同士で楽しそうに会話していたんですよ。こういう現象はZoomだと起きません。現実世界とあまり変わらないんじゃないかとと思っちゃいました(笑)

田中:それは面白いですね。弊社側でもあまり発見した事がなかった事例です(笑)

採用活動の新たな選択肢が増えた

田中:実際にイベントでV-airを活用していただいて、新しい発見などはありましたか?

山本:業界全体の話になるのですが、採用市場におけるイベントってどこも遜色無いんですよね。ほかの企業がやるのも、兼松がやるものも大きな違いはありません。

結局、差別化できるのはトークテーマくらいです。例えば、「今回は新規事業についてのイベントをします」などです。それぐらいしかできることがないと思っていました。

ただ、まだイベントを一回しかしていないので、今後実現できるかの判断は難しいですが、メタバースを用いて、説明だけでなく、学生さんにオフィスでの働き方を体験してもらうのはおもしろいと思います。メタバースを活用したことによって採用活動の選択肢が増えたなと思いました。

田中:現状は会社説明会で活用されていると思いますが、今後採用活動でこんなふうに使っていきたいという展望があればお伺いしたいです。

山本:選考をメタバース上で行えたらおもしろいと思います。どうしてもZoomだと双方向の意見が自由に行き交う空間ではありません。メタバースだとオンラインの中でも現実に近いコミュニケーションができます。その性質を活かして集団面接やグループワークなどの採用活動も実験的にやってみたいですね。

あとはイベントをどんどん増やしたいですね。メタバースという空間がどういうイベントをやれば学生さんに喜んでもらえるのかを試行錯誤しながら見つけていきたいと考えています。

AIとの連携で新たな可能性を拡げる

田中:人事部以外でもV-airの活用を広めていきたいとかお考えはありますか?

小松:一番は営業部門に使いたいです。今回、会社のエントランスもメタバース化しており、そこには会議室もあります。

例えば、各会議室に各部門の営業部が使ってる商材・サービスや、本社に限らずグループの商材を置いて営業がお客様をご案内してアイスブレイクに使うのもいいかなと構想しています。ほかにも「兼松さんってこんな商材も使ってるんですね」という接点を作り、何か新しいものが生まれたらいいなと思います。

田中:そうですね。総合商社の兼松ならではの使い方ですね。貴社でいうと航空機関連の商材も扱われていますので、メタバース上に実寸大の3Dモデルがあったりするとより商材の魅力が伝わりやすいと思います。

小松:あと、弊社は海外や地方を拠点に働いている方達もいるので、リアルでは集まりにくい方達とメタバース上で懇親会のようなものができたらなと思っております。

また、AIについても、UrthでAIと連携できるシステムをリリースされると思うのですが、弊社のチャットAIシステムと連携できればなと考えております。

田中:他の会社さんでもそうなんですけどChatGPTなどのAIツールをうまく使いこなせないところは意外と多いです。

そこで、メタバース上にChatGPTを搭載したアバターを設置するのはひとつのAIの使い方だと思います。例えば、貴社の商材情報をインプットしたAIアバターが24時間接客対応するなどもいいですよね。

小松:そうですね。それも良いと思います。またイベントでもメタバースとAIを活用すれば、それをきっかけに今まで接点がなかったお客様も参加してくれるのもあるのかなと思いました。

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新しいオンラインコミュニケーションツールであるメタバースをご活用企業様の思い通りに、UI、空間、機能をカスタマイズできるシステムです。マーケティング、採用でのメタバース活用に最適なツールとなっています。

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