導入事例 2026.02.04

【体験する企業像】アイナックス稲本がメタバースで加速させる企業ブランドの再定義

アイナックス稲本株式会社(以下、アイナックス稲本)は、業務用クリーニング機器のパイオニアとして、長年にわたりリネンサプライ工場や病院、ホテルなどの「清潔」で「快適」な環境づくりを支えてきました。単なる機械メーカーにとどまらず、施設の設計から運営サポートまでを行う「トータルエンジニアリング企業」として、業界をリードし続けています。

同社は現在、市場環境の変化や深刻な人手不足を背景に、機器販売の枠を超え、顧客の課題を包括的に解決する企業への変革を推進しています。しかし、この新たな企業像や目指すべき世界観は抽象度が高く、既存のWebサイトやSNSによる発信だけでは、エンドユーザーや求職者に対して十分にその真意や魅力を届けきれないという課題がありました。特に、業界全体のイメージを刷新し、次世代の人材へ訴求するための「リブランディング」において、従来の手法では限界が生じていました。

そこで、新たなコミュニケーション手法として株式会社日本旅行(以下、日本旅行)の提案により、Urthが提供するメタバース空間「metatell(メタテル)」を導入。バーチャル空間ならではの自由度を活かし、同社の世界観や先進性を直感的に体験できる場を構築する取り組みが始まりました。今回は、この未踏のプロジェクトを推進したアイナックス稲本の橋本様(以下、橋本)、提案を行った株式会社日本旅行の中村様(以下、中村)、そして導入を支援したUrthの藤田(以下、藤田)が、導入の経緯から制作の裏側、そして採用活動における成果について語り合います。

「専門メーカー」から「トータルエンジニアリング企業」へ。リブランディングの壁

藤田:まずは、今回のプロジェクトが立ち上がった背景と、導入前の課題についてお聞かせください。

橋本: 最大の課題は、市場環境の変化でした。これまでは「良い機械を作り、長く使っていただく」ことが最適なソリューションでした。しかし、人口減少をはじめとした市場環境の変化により、お客様が抱える人手不足やコスト削減といった課題を解決するには、単なる機械メーカーとして「モノ」を売るだけでは不十分です。そこで2年半前、社長交代のタイミングで「専門メーカー」から、設計・運営まで含めた「トータルエンジニアリング企業」へ生まれ変わるという方針を打ち出しました。

新社長はこのメッセージを社内外に発信していましたが、どうしても社長一人の力ではエンドユーザーの隅々まで届ききらないというジレンマがありました。社内向けにはメッセージアプリ等で浸透を図りましたが、社外への「リブランディング」をどう進めるかが課題でした。そこで、日本旅行の中村さんに相談したところ、「メタバース」をご紹介いただきました。

藤田:中村様はどのような経緯でメタバースをご紹介いただいたのでしょうか。

中村: 旅行業界でも、コロナ禍を経た市場環境の変化に合わせて、リアルな移動だけでなく、デジタルの世界も行き来できる新しい「旅」の形である「バーチャルツアー」のソリューションを開発していました。 企業のブランド価値をバーチャルワールドに再現し、そこを旅するように回ってもらう「バーチャルツアー」だけでなく、未来や過去など実際には行くことができない世界もバーチャルワールドで行けるようにする「タイムトラベル」なども提供しています。そのようなタイミングでアイナックス稲本の橋本様からご相談をいただきました。

そこでアイナックス稲本様が目指す「世界観」や「抽象度の高い新しい企業像」を表現するには、旅行業はもちろん、既存のWebサイトやSNSよりも、没入感のあるメタバース(バーチャルワールド)が最適ではないかと考え、ご提案しました。

「ゲームでしょ?」という先入観。ロジックで勝ち取った社内決裁

アイナックス稲本株式会社 橋本様

藤田:提案を受けた際の印象はいかがでしたか。また、社内での合意形成はどのように進められたのでしょうか。

橋本: メタバース自体は知っていましたが、正直に最初は「まさか当社がメタバース?」と驚きました(笑)。私の世代だと、どうしてもRPGなどのゲームのイメージが強く、「経営層にどう説明すればいいのか」が一番の懸念でした。メタバースに馴染みがない方とっては、「ゲームのような世界を作って本当に効果はあるのか?」と思われてしまう可能性もあります。

そこで、SNSやYouTube広告など他の手段も含めた比較資料を作成しました。SNSは拡散力がありますが、我々の深いメッセージを正確に伝えるには不向き。 YouTubeは手軽ですが、届けたい層に確実にリーチできるか不透明。対してメタバースは、業界初の取り組みとして注目度が高く、かつ世界観を深く体験してもらえる。このロジックを固めた上で、ゲーム好きで理解のある上司を味方につけ、社長へ直談判に行きました。

結果、社長も「新しいことならやってみろ」と背中を押してくれ、導入が決まりました。

藤田:様々な企業が多様なメタバースサービスを提供していますが、どのような理由で「metatell(メタテル)」を選んでいただいたのでしょうか。

中村: 弊社の方で数あるメタバースの中から選定した上でご提案したのですが、アイナックス稲本様へmetatellをご紹介した理由は、同社の世界観を表現できる「自由度」と「クオリティの高さ」です。metatellは建築出身の方が空間設計を行っているため、単なるゲーム空間ではなく、建築的な意匠がしっかりしています。また、アプリ不要でブラウザからアクセスできる利便性も決め手でした。

橋本:メタバース自体に関しては、「発信」としてだけでなく、「コンテンツ」として活用できる点もメールやSNSといった既存手段との違いとして注目していた部分ですね。

「ベテランは口を出さない」若手の感性を信じた空間制作

株式会社日本旅行 中村様

藤田:空間制作していく中で、不安に感じられていた部分やこだわったポイントなどはありましたか。

橋本: これまで、企業HPの作成などの業務経験があったため「コンテンツ制作」という観点では大きな不安はありませんでした。

また、制作においては、「ベテラン社員は口を出さない」と決めていました。最初のコンセプト方針の確認だけ行い、あとは若手社員に一任しました。これからの時代を作るのは若い感性ですから。 その結果、若手メンバーの責任感と主体性が大きく向上しました。それぞれが自分の役割を理解し、「ここは自分が担う」と自ら動いてくれるようになり、当初の不安をよそに、非常にクオリティの高い空間が完成しました。

特に、「単なる“製品”販売ではなく、そこから得られる“価値”を提供する」という打ち出したいコンセプトに対し、藤田さんとディスカッションしながら、弊社の世界観を再現した空間の中で、生産性向上や工場管理など弊社のユーザーが興味のある領域を自分で選択し、欲しいソリューションを発見できるエリアを作成できた点は、社内でも驚きの声があり、非常に好評でした。

採用難航からの逆転。メタバースがもたらした成果

藤田:実際に公開されてみて、どのような反響がありましたか?

橋本:まず、一般公開の前に事前に社内向けに公開したのですが、ほとんどの社員がメタバース空間に入り、実際に体験してもらうことに成功しました。

社外に対しても、アクセス解析の結果が予想以上に良く、多くの方に興味を持っていただいたことに驚きました。また、展示会で体験していただいたお客様からも「すごい!」「新しいことを始めたね」と驚きの声をいただき、リブランディングの一歩目として成功したと感じています。

そして最大の成果は「採用」です。 実はここ1年以上、プロモーション人材の採用活動が難航している状態でした。しかし、2025年10月にメタバースを公開し、その後の募集で、すぐに1名の採用が決まりました。中途採用の方で、応募してくれた際に「こういう先進的な取り組みをする会社なら働いてみたい」と興味を持ってくれたのではと思います。その方は、広告宣伝やイベント企画の業務経験があり、2026年2月に入社が決まっているのでメタバース活用に関する今後の展開がさらに楽しみになりました。

藤田:中村様としては、実際に完成された空間を体験いただき、どのような感想を持たれましたか。

中村:橋本様は当初から「ワクワクする」というキーワードをお話しいただくことが多く、それだけメタバースに対する期待感をお持ちだったと思います。その期待感を裏切ることなく、満足いただけたことやアイナックス稲本の社員の皆様やお客様など様々な方に空間を体験していただき、新しいブランディングを共に築けたという点に対してとても嬉しく感じています。

藤田:最後に、今後の展望をお聞かせください。

橋本: 現在は「真面目なメイン空間」を公開していますが、年内には遊び心を加えた「裏空間」も公開予定です。今後は、新製品発表をはじめ、メタバース内でのセミナーやイベントなども開催していきたいと考えています。採用にも効果が出ているので、会社説明会などでも積極的に活用していきたいですね。

中村: AIなどで効率化が進む時代だからこそ、人間らしいクリエイティブや「ワクワク」を表現することが企業の価値になります。私たちは旅行会社として、ワクワクやクリエイティブで創り上げてきた「旅」の概念を”リアル”だけではなく、”バーチャル”や”デジタル”の世界まで広げ、未来を見据えて新しい価値を作りたい企業様に、ぜひこのバーチャルワールドでの「旅」が広がればと思います。

会社概要

会社名アイナックス稲本株式会社
所在地〒141-0032 東京都品川区大崎5-1-11/住友生命五反田ビル7階
設立1970年1月9日
従業員数320人
事業内容業務用洗濯機械設備、その他の機械設備の製作、輸出入及び販売、メンテナンス、部品の販売、機械器具設置工事、電気工事、管工事等の施工。
病院、老人施設、原子力発電所、研究所、コインランドリー、テーマパーク、官庁諸施設への洗濯、洗浄、乾燥、仕上げ設備全般の販売。
WEBサイトhttps://www.inax-corp.co.jp/company/profile.html

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