導入事例 2026.05.15

【Z世代に響く採用】デジタルネイティブの感性を刺激する、メタバースによる母集団形成

株式会社FUJI(以下、FUJI)は、1959年の創業以来、電子部品実装ロボット(マウンター)で世界トップクラスのシェアを誇る、日本を代表する「ものづくり企業」です。愛知県知立市を拠点に、最先端のロボット技術とデジタル技術を融合させた「スマートファクトリー」の実現を牽引し、世界の製造現場に革新をもたらし続けています。

同社の強みは、極小の電子部品を高速・高精度に配置する圧倒的な技術力と、それを支える独創的な開発体制にあります。しかし、B to B(企業間取引)を主軸とする事業特性から、一般の学生や求職者にとっては馴染みが薄く、競合他社と比較して「認知度の向上」が長年の課題となっていました。

また、同社が推進する「ダークファクトリ―(無人化フロア)」などの高度な取り組みは、従来の会社説明会における写真や動画、口頭での説明だけでは、そのスケール感や臨場感を正確に伝えることが難しく、エントリーから説明会参加へと至る「遷移率」の向上に高いハードルを感じていました。既存の採用手法だけでは、同社が持つ「未来のものづくり」の魅力を十分に届けきれないという危機感がありました。

そこで、Urthが提供するメタバース空間「metatell(メタテル)」を活用し、学生にとって親和性の高い仮想空間上で「スマートファクトリー」を再現。没入感のある体験を通じて、企業の先進性と技術力を直感的に伝える新たな採用ブランディングを模索するプロジェクトが始まりました。

今回は、この先進的な挑戦に至る背景や、なぜ「採用×メタバース」という手法を選んだのかについて、プロジェクトを牽引されたイノベーション推進部の神谷様、運用を担う人材戦略部の平松様、そして「metatell」の導入を支援したUrthの藤田が振り返ります。

採用の「歩留まり」をどう超えるか。ものづくり企業が直面した課題

藤田: まず、弊社との出会いのきっかけからお聞かせいただけますでしょうか。

神谷: 弊社とUrthさんとの出会いは一昨年、名古屋市が主催したスタートアップ企業のピッチイベントでした。私が所属するイノベーション推進部では、社内の各部署から課題をヒアリングしてリストアップしています。その課題リストの中にあったのが「採用」に関する悩みです。数あるスタートアップ企業のお話を伺う中で、Urthさんのサービスは我々の課題に非常にマッチするのではないかと感じ、こちらからお声がけしたのが始まりでした。

藤田: ピッチイベントには、最初から採用課題の解決策を探しに行かれていたのですか?

神谷: そうですね。我々の拠点があるこの地域には、非常に多くのものづくり企業が存在します。当社もその一角を担っていますが、他社と比較して新卒・中途ともに「認知度が低い」という根本的な課題がありました。また、たとえエントリーをいただけたとしても、そこから実際の会社説明会へ申し込んでいただくという、採用ファネルにおける「次のステップ」へのハードルを越えるのが非常に難しい状況でした。

これまでも、担当者が地道に大学や研究室を回って認知度向上に努めてきましたが、リソースには限りがあります。限られたリソースの中で成果を出すには、もっと爆発的に認知度を上げ、一気に興味を惹きつける「これまでにない手段」が必要だと考えていました。

なぜ「メタバース」なのか。若年層の感性と学習定着率への期待

株式会社FUJI イノベーション推進部 神谷様

藤田: 認知度向上や遷移率の改善という課題に対し、メタバースという手法はかなり先進的な選択だったかと思います。そこに期待された理由を詳しく教えてください。

神谷: 当初、メタバースはまだ社会実装のユースケースを探っている段階の技術だという印象を持っていました。しかし、採用という領域で活用するという目新しさが、まず一つの武器になると考えました。今の学生、いわゆるデジタルネイティブ世代は、私たちが想像する以上にメタバースへのハードルが低く、自然に受け入れています。我々自身が彼らの感覚にアップデートし、ダイレクトにリーチできる手法を取る必要があると感じたのです。

藤田: 確かにおっしゃる通りです。最近ではYouTubeよりもメタバース空間で過ごす時間が長い若者も増えていますよね。

神谷: ええ。もう一つの大きな理由は、Urthの田中代表とお話しする中で出てきた「学習定着率(理解度)」の話です。単なるオンライン会議ツールでの説明や動画視聴と違い、メタバースには「没入感」があります。言葉や資料だけでは伝えにくい当社のリアルな製品や工場のスケール感を、リアリティを持って体験してもらうことで、学生さんに当社をより身近に感じてもらえるのではないかという仮説を立てました。

藤田: 「体験」に勝る説明はない、ということですね。

神谷: その通りです。写真や動画だけでは伝わりづらいサイズ感や臨場感を、3D空間でアバターを操作しながら体験してもらう。自分自身をその空間に置き換えてもらうことで、当社の魅力がより深く刺さるのではないかと期待しました。

社内決裁の鍵となった「具体的な課題感」と「自由なカスタマイズ性」

株式会社FUJI 人材戦略部 平松様

藤田: 新しい技術を導入する際、社内での合意形成にはハードルがあったのではないでしょうか。どのように導入まで導かれたのですか?

神谷: 幸いなことに、社内には「遷移率を上げたい」という具体的な課題感が共通認識として存在していました。そこに「学習定着率の向上が寄与する」という明確な仮説をぶつけることができたのが大きかったですね。何を検証しようとしているのかが具体的だったため、説得材料として非常に強力でした。

藤田: 数あるメタバースサービスの中で、最終的に「metatell」を選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか。

神谷: 正直なところ、他社との比較検討はほとんどしていません。なぜなら、Urthさんは「採用にメタバースを活用する」という文脈を明確に打ち出しており、我々の目的と完全に一致していたからです。また、我々が調べた限り、当時はその文脈を前面に押し出している、比較対象となる他社様がほとんどいらっしゃいませんでした。さらには、自由度の高いカスタマイズ性も魅力でした。我々の要望に合わせて一緒にユニークな空間を作り上げてくれるパートナーだと感じたことが最大の理由です。

「メタバースしかない」という確信があったわけではありませんが、有効な手段の一つとしてチャレンジする価値があるという位置付けでスタートしました。もしこれがうまくいけば、今後メタバースとリアルを組み合わせた手法が、当社の新しい採用のスタンダードとして定着していくのではないかという期待感を持ってプロジェクトに臨みました。

制作プロセスでの試行錯誤。「未来の空間」へのパラダイムシフト

藤田: 実際の制作工程では、毎週のように朝早くからお打ち合わせをさせていただきましたね。振り返ってみていかがですか?

神谷: 不安は全くありませんでした。藤田さんから「こうした方がいいのではないか」という提案型の企画を常にいただけましたし、フィードバックも短いスパンで繰り返していただけたので、安心感を持って進めることができました。むしろ、我々側の素材提供や宿題が追いつかない場面もあったほどです(笑)。

藤田: 最初は既存の工場の再現を目指していましたが、途中で「もっとメタバースならではの、未来感のある空間にしよう」と大きく舵を切った場面がありましたね。

神谷: あの議論は一つの節目でしたね。当社の「ダークファクトリ―」は、暗闇の中で稼働する無機質ながらも非常に魅力的な世界です。それをただ再現するのではなく、よりかっこよく、よりインパクトのある見せ方に昇華させる。メタバースだからこそできる、一つの扉を開けるたびに新しい体験が広がる空間構成は、非常に満足度の高いものになりました。

藤田: 制作側としても、貴社の高い技術力をどう表現するか、非常に楽しく取り組ませていただきました。動画と違って、メタバースは単調だとすぐに飽きられて離脱されてしまいます。移り変わりと驚きを随所に配置したことで、学生を飽きさせない「体験」が構築できたと感じています。

学生の順応性と見えてきた課題、そして今後の展望

藤田: 実際にイベントで活用してみて、学生さんの反応はいかがでしたか?

平松: 驚いたのは、学生たちの順応性の高さです。私たちが「操作が難しいのではないか」と心配していたのが杞憂に終わるほど、彼らは入場した瞬間から自由に動き回り、空間を使いこなしていました。イベント開始を待っている間に、自分たちで操作を熟知してしまっているんです。これはまさに、今の世代ならではの光景だと思いました。

藤田: 「習うより慣れろ」という感覚ですね。今の世代にとっては、あえて説明されずとも直感的に「こう動けばいい」と理解できてしまうような、親和性の高い空間だったということですね。

平松: その通りです。一方で、我々運営側の段取りやサポート体制については、まだブラッシュアップの余地があると感じています。学生がスムーズに動けている分、我々がどのように介入し、どのようにコミュニケーションを取るのが最適なのか、新たな課題も見えてきました。

藤田:今回のトライアルを通じて得られた知見は非常に大きいですね。

神谷: はい。また、アンケート結果でも「初めての体験で面白かった」という声を多くいただきました。私たちはB to Bのメーカーで、特に電子部品実装ロボットという、一般の方にはイメージしづらい製品を扱っています。これまでは資料や口頭で伝えていましたが、メタバースなら「体験」を通して直感的に理解してもらえるのが大きな強みですね。

藤田: イベント終了後の質問タイムも印象的でしたね。皆さんが空間に残って、人事の方の周りに集まっていましたよね。

平松: そこがまさにメタバースならではだと感じました。Zoomだと画面内に全員がいるため、1対1で質問するのは心理的ハードルが高い。でもメタバースなら、アバターで採用担当者の元へ近づいて、現実と同じように個別相談ができる。説明会が終わった後の「余韻」の中で、深いコミュニケーションが取れるのは大きな違いです。

藤田:今後の展開については、どのようにお考えでしょうか。

平松: まずは遠方の学生や、これまで接点を持てなかった層へのアプローチとして、非常に有効な母集団形成の手法になると確信しています。学生との接点を作る場として維持しつつ、今後は採用フェーズの次のステップに移っていただくための施策をいかに提供できるか、という部分に注力していけたらと考えています。

神谷: 平松さんと同様に、イベント参加後の遷移に関しては今後より注力していきたいポイントですね。

平松: また、今回の取り組みを通じて率直に感じたのは、映画の「サマーウォーズ」で描かれていたような世界が本当に実現しつつあるな、ということです。採用だけでなく、営業や市役所など幅広い業界で活用される未来がすぐそこまで来ていると感じました。

デバイスの進化次第なところはありますが、今後は弊社のイベントもヘッドセットで体験いただくとまた違った感動があり、注目度が高まると思うので気になる部分ですね。

企業情報

会社名株式会社FUJI
所在地〒472-8686 愛知県知立市山町茶碓山19番地
設立1959年4月
従業員数連結2,976名、単体1,765名 ※2025年3月末現在
事業内容電子部品実装ロボット、工作機械
WEBサイトhttps://www.fuji.co.jp/

メタテルで理想のメタバースを構築しよう!

新しいオンラインコミュニケーションツールであるメタバースをご活用企業様の思い通りに、UI、空間、機能をカスタマイズできるシステムです。マーケティング、採用でのメタバース活用に最適なツールとなっています。

サービス詳細
Contact Urthについてのお問い合わせはこちらから