【建築でのNFT活用事例】gltfデータ、glbデータをRhinoから出力する方法

ライノ gltf glb NFT

text:
Hiroki Tanaka

大きな話題となっているNFTですが、建築データでも応用ができるのではないかと、Urthで実験してみました。

まず、NFTって何??となる方も多いと思いますので、そこからご紹介します。(筆者も専門分野ではないので、間違えた情報も入っているかもしれません。誤りを見つけた方はコメントしていただければ幸いです。)

NFTは、端的に言うとデータに正当な価値をつける装置です。これを活用することで、現在では価値がないとみなされ、個人のパソコンに眠っているデータが価値をもち、それを売買することで次回以降の創作へとつながるきっかけを生み出す画期的な試みができます。

3DデータのNFT化をするには、gltfデータ形式、glbデータ形式が必要です。今回はその出力をライノセラス(Rhinoceros)で行う方法を取り上げます。
※ライノセラスからgltfデータglbデータを出力したいかたは、こちらからお読みください。

NFTとは?

EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS NFT 建築
 「EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS」提供写真(2021年 ロイター/BEEPLE)

NFTで最も有名な作品はこちらではないでしょうか。こちらの作品、デジタルアート作家「ビープル」ことマイク・ウィンケルマン氏によるコラージュ作品、「EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS」は、約75億円で売却され、現存アーティストのオークション記録第3位となりました。このように、ここ数週間で、アート作品が数千万ドルで売却されたり、著名ロックバンドが最新アルバムをリリースしたりしたことにより、NFTは大きな注目を集めています。

ここで、一つのjpgデータになぜそのような価値が出るのか、わけのわからない方も多いかと思います。

まずNFTとは、

暗号資産(仮想通貨)の基本技術として知られるブロックチェーン(分散型台帳)に存在するデジタル資産

のことです。

ブロックチェーンは公共性のある台帳で、誰でもその資産の真正性や所有権を証明することができるツールです。

そのため、ブロックチェーンに紐付けられたデジタルデータは、無制限に複製が可能なほとんどのデジタル資産とは違い、固有のデジタル署名を持ち、「唯一無二」となります。

このブロックチェーンで紐付けられたデジタル資産に暗号資産(多くは、「イーサリアム」)で価値を結び付け取引されています。その取引記録も、ブロックチェーンに取引記録が残るため、NFTの作品は誰でも見ることができますが、購入者は正式な所有者としてのステータスを手に入れることができるのです。

Rhinoceros(ライノセラス)の建築データをNFTにする方法

データに唯一無二の証明書をつけることで、模倣できないようにし、本来の価値を引き出すNFTですが、これは多くのデータ形式を扱う建築分野にも応用できるのではないでしょうか。

今回の実験では、そのデータ活用の先駆けとして、実際に建築データをブロックチェーンに紐付けNFTとしてみました。NFTの作成および取引場をサービスとして提供するOpenseaを用いて、rhinocerousで作成した設計データをNFTとしました。

NFT 建築 ブロックチェーン
今回NFT化した建築データ(写真はrhinocerousでのもの)
NFT化したデータはこちら

建築データのNFT化手順

  1. Openseaアカウントを作成する
  2. Rhinocerousからglbデータ形式もしくはgltfデータ形式を出力する
  3. Openseaにアップする

一つ上の章で、やたら難しくブロックチェーンを説明しましたが、ブロックチェーンは近年開発が大きく進み、プログラミングの専門知識がなくとも、簡単に作成することができます。その代表格がOpenseaです。

1.Openseaのアカウントを作成

Openseaにアップするには、アカウントが必要となります。この手順は、opensea側で詳しく解説があるので、そちらを参考にしてみてください。

Openseaの使い方

Chromeの拡張機能のMeta Maskが必須となります(ここがすこし難しい)がそれ以外は基本的に一般的なサービスの登録と同程度の単純さです。

2.Rhinocerosからglbデータ形式もしくはgltfデータ形式を出力

ここが最大の難関といっても過言ではないと思います。AutoCADやRevit,Rhinocerousなどあまたある建築のCADですが、ここからOpenseaにデータをアップするには、データ形式を整えなければいけません。CAD間をデータ移行するのと同じように特定のデータ形式とすることで、データをNFT化することができます。

そのデータ形式がglbデータ形式もしくはgltfデータ形式です。これは、web上で3Dデータを表示する際に多く用いられる形式で、基本的な建築のCADではデフォルトで出力することはできません。

そこで、GitHubなどから、glbデータ形式もしくはgltfデータ形式を出力するためのプラグインを見つけて導入するか、glbデータを出力できるBlenderを用いる必要があります。

☆Rhinocerosプラグインを用いて、glbデータgltfデータをRhinocerosからエクスポート

ライノセラスにはおおくのプラグインが存在します。そのプラグインの一つがライノセラスからglbデータやgltfデータを出力することを可能にします。ここでは、そのプラグインを紹介します。

GLTF-BINEXPORTER (by Aske Doerge)

food4rhinoからダウンロードできるので、比較的簡単にダウンロードできます。

対応ヴァージョン
Rhino 7 Win
Rhino 7 Mac

料金
無料

使い方
1.プラグインをダウンロード
2.コマンドで、glTFBinExportを入力
3.exportしたいオブジェクトを選択
4.ファイル名を付けて保存

このプラグインのダウンロードはこちらから


AT.STUDIO(by Fologram)

food4rhinoからダウンロードできます。対応ヴァージョンが多いのが特徴です。

対応ヴァージョン
Rhino 5 Win
Rhino 6 Win
Rhino 7 Win
Rhino 6 Mac

料金
無料

使い方
1.プラグインをダウンロード
2.コマンドでexport
3.exportしたいオブジェクトを選択
4.ファイル名を付けAtStudio GL Transmission Format Binary(*glb)で保存

このプラグインのダウンロードはこちらから


☆Blenderを利用する方法

もう一つ、glbデータ形式もしくはgltfデータ形式を出力する方法があります。近年、建築の分野でも利用する人が増えているBlenderを用いることで、二つのデータ形式を出力することができます。Blenderは、建築ではよくレンダラーとして用いることが多いかと思いますが、そのBlenderでは、2.8モデルからglbデータ形式もしくはgltfデータ形式でデータを出力する機能が標準で備わっています。

Rhinoからfbxデータ形式などでBlenderへデータを移行し、そのBlenderからgltfデータ、glbデータを出力することができます。

そのため、Blenderをもちいることで、レンダリングを行いながら、3DデータをNFT化することも可能です!

Blenderに関してはこちら


glbデータ、gltfデータはほかのCADからも出力できます。
SketchUpで作成する場合は以下の記事を参照してください。

3.Openseaにアップする

手順2まで、進めば残りは非常に単純です。Openseaに示される手順に従って、データをアップし、ブロックチェーンと紐付けるデータの説明を入力します。

実は、このデータの説明が非常に重要です。ここに、誰がどのような目的で、なぜデータをブロックチェーンと紐づけたのかを記述することで、そのブロックチェーンのデータの価値は大きく変化するでしょう。

といったデータはNFTとしてのプレミアはつきやすいと考えられます。

また、データの保管でも、誰がいつ、どのような目的でデータをアップしたのかを明確にし、保証データを付属することで、そのデータへの信用性は大きく上昇するでしょう。(実際にOpenseaでは、アップした人が身分を偽るなどの詐欺が発生しています)


今回は、話題のNFTに限って建築データをブロックチェーンに紐付ける方法を特集しました。なかなか建築分野の人には聞きなれないブロックチェーンですが、今後CADデータの活用や建物のライフサイクルを通したデータ管理では、必須の技術となると考えられます。NFTをきっかけにデータ管理の方法にも興味をもってもらえれば幸いです。

今回は、作成方法に偏って情報を記載しましたが、NFTの魅力は何といっても、データに正当な値段が付く部分です。建築では、多くの作品が構想の段階でとどまったり、課題や卒業設計などで実現せず、個人のパソコンに眠ったままとなるデータが多く発生する分野です。そんなデータを、NFT化しておくことで、将来自分が建築分野でレベルアップし、独立する際などに、学生の間に設計してきたデータやコンペで次点となり実現しなかったデータが大きな価値を見出され、次の創作へとつながっていくような世界が実現されることは非常に面白いのではないでしょうか。

最後に、少しだけ宣伝を…

弊社では、アップロードしている人の身分の詐称ができてしまうという問題点をかかえるOpenseaで、身分証明データとCADデータを掛け合わせてブロックチェーンとすることで、データの信用度や価値を上げるサービスを行っています。普段使っているCADデータの送信とアップロード者の情報登録のみで利用いただけるサービスとなっていますので、興味を持たれた方はぜひお問い合わせください!

投稿者プロフィール

田中 大貴
株式会社Urth CEO
早稲田大学創造理工学研究科所属
早稲田大学創造理工学部建築学科を2021年3月卒業
大学では、建築学を専門としつつ、2018年4月からは早稲田大学で「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」をはじめとした商学部の授業を受講。 その後、文科省edgeNextプログラムの一つである、早稲田大学GapFundProjectにおいて2019年度の最高評価および支援を受け、起業。 現在は、大学院で研究をしつつ、「〇×建築」をテーマにwebサービスの開発、営業から、建築の設計及び建設物の運営やVR空間の設計に関するコンサルタントまで幅広い事業を行う。

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